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Ruhe,meine Seele!   Op.27-1 TrV 170  
  Vier Lieder
憩え、わが魂よ  
     4つの歌曲

詩: ヘンケル (Karl Friedrich Henckell,1864-1929) ドイツ
      Ruhe,meine Seele!

曲: シュトラウス,リヒャルト (Richard Strauss,1864-1949) ドイツ   歌詞言語: ドイツ語


Nicht ein Lüftchen regt sich leise,
sanft entschlummert ruht der Hain;
durch der Blätter dunkle Hülle
stiehlt sich lichter Sonnenschein.

Ruhe,ruhe,meine Seele,
deine Stürme gingen wild,
hast getobt und hast gezittert,
wie die Brandung,wenn sie schwillt.

Diese Zeiten sind gewaltig,
bringen Herz und Hirn in Not -
ruhe,ruhe,meine Seele,
und vergiß,was dich bedroht!

そよ風さえもがそっと揺り動かすこともなく
茂みは穏やかにまどろんでいる
木の葉の暗い覆いを通り抜けて
明るい太陽の光が差し込んでくる

憩え、憩え、私の魂よ
お前の嵐は激しくなり
荒れ狂い 震えている
突き上げてくる波のように

今の時代は激烈だ
心に 頭に悲しみをもたらす
憩え、憩え、我が魂よ
そして忘れるのだ お前を脅かすもののことなど


作品27の4曲は1894年、ソプラノ歌手でもあった妻のパウリーネに、その結婚のお祝いにプレゼントしたものだといいます。確かにこの曲を除けば他の3曲は3種3様ではありますがいずれも熱い恋の歌です。その中でなぜこのような沈痛な詩が選ばれたのかは興味深いところですが、この曲も地味ながらそれらと遜色のない魅力を発していると思いますし、実際良く取り上げられています。シュトラウスの作品で、これほど沈痛な雰囲気を歌うのも珍しいのではないでしょうか。音楽はひたすら静かに、平静に歌われますが、そこで語られている内容は凄絶です。詩人のヘンケルKarl Friedrich Henckell (1864-1929)ははじめ革命詩人としてならし、後に抒情詩なども書くようになった人なのだそうです。シュトラウスはかなり好みの詩人であったようで、初期から中期にかけてかなりの数の彼の詩につけた歌曲があります。

管弦楽伴奏に編曲されたものもあり、ジョージ・セルの伴奏を得たシュヴァルツコップの素晴らしい録音が容易に聴けるものと思います。

( 2008.10.01 藤井宏行 )


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