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Ständchen   Op.17-2 TrV 149  
  Sechs Lieder
セレナード  
     6つの歌曲

詩: シャック (Adolf Friedrich von Schack,1815-1894) ドイツ
    Gedichte - 1. Liebesgedichte und Lieder  Ständchen

曲: シュトラウス,リヒャルト (Richard Strauss,1864-1949) ドイツ   歌詞言語: ドイツ語


Mach auf,mach auf,doch leise mein Kind,
Um keinen vom Schlummer zu wecken.
Kaum murmelt der Bach,kaum zittert im Wind
Ein Blatt an den Büschen und Hecken.
Drum leise,mein Mädchen,daß nichts sich regt,
Nur leise die Hand auf die Klinke gelegt.

Mit Tritten,wie Tritte der Elfen so sacht,
Um über die Blumen zu hüpfen,
Flieg leicht hinaus in die Mondscheinnacht,
Zu mir in den Garten zu schlüpfen.
Rings schlummern die Blüten am rieselnden Bach
Und duften im Schlaf,nur die Liebe ist wach.

Sitz nieder,hier dämmert's geheimnisvoll
Unter den Lindenbäumen,
Die Nachtigall uns zu Häupten soll
Von unseren Küssen träumen,
Und die Rose,wenn sie am Morgen erwacht,
Hoch glühn von den Wonnenschauern der Nacht.

開けて、開けてくれよ、でも静かにね ぼくの可愛い人
眠ってる人たちをだれも起こしたりしないように
小川はほとんどせせらいでないし、風の中でもまるで揺れてない
茂みや生垣の葉っぱたちは
だから静かにね、ぼくのお嬢さん、何も動かさなくていいんだ
ただ静かにその手を鍵のところにかけるだけでいいから

足取りも、まるで妖精のような静かに
花の上を歩いて行くような足取りで
月の輝いているこの夜に静かに飛び出しておいでよ
庭にいるぼくのところまで抜け出してくるんだ
花たちは眠っているよ せせらぐ流れのそばで
そして眠りの香りがする、目覚めているのは愛だけなのさ

そばに座ってよ、たそがれはとてもミステリアスだ
このリンデの木の下では
ぼくらの頭の上にいるナイチンゲールはきっと
ぼくらのくちづけのことを夢見るのさ
そしてバラは、朝に目覚めたとき
ひときわ赤く燃えるんだ この夜の喜びのシャワーを浴びて


目の覚めるような伴奏に乗せて爽やかな歌が歌われます。第3連は少々重たくなりますが、古今東西のセレナーデの中でもこれほど軽快で美しいものはなかなかありません。
古くはリチャード・タウバーのような名テノールによって愛唱されたこの歌、もちろん現代でもテノール歌手の重要なレパートリーなのでしょうが、そしてまたセレナーデというのが男性が窓の下で愛する女性を呼び出すための歌ですから、男声でよく歌われることには何の異論もないのですが、私はやはりこの歌、澄んだ声のリリックソプラノが歌うことでより一層魅力が高まる歌ではないかと思っています。冒頭の「眠っている人を誰も」のところの高音などほれぼれと聴かされてしまいます。これはやはり彼の奥さんとなったパウリーネがソプラノ歌手で、シュトラウスが書いた歌曲の多くが彼女が歌うのをイメージして書かれたということにもあるのでしょう。
詩人のシャックは今ではもうほとんど知られていない人のように思われますが、この時期のシュトラウスは彼の詩に集中的にメロディをつけており、Op.15や17・19に他にも名曲がたくさんあります。

( 2008.10.01 藤井宏行 )


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