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Nichts!   Op.10-2 TrV 141  
  Acht Gedichte aus “Letzte Blätter”
何もない  
     「最後の葉」からの8つの詩

詩: ギルム (Hermann von Gilm zu Rosenegg,1812-1864) オーストリア
    Letzte Blätter  Nichts!

曲: シュトラウス,リヒャルト (Richard Strauss,1864-1949) ドイツ   歌詞言語: ドイツ語


Nennen soll ich,sagt ihr,meine
Königin im Liederreich?
Toren,die ihr seid,ich kenne
sie am wenigsten von euch.

Fragt mich nach der Augen Farbe,
fragt mich nach der Stimme Ton,
fragt nach Gang und Tanz und Haltung,
ach,und was weiß ich davon!

Ist die Sonne nicht die Quelle
alles Lebens,alles Lichts?
Und was wissen von derselben
ich und ihr und alle? Nichts.

ぼくに語れって、君たちはいうのか、ぼくの
歌の国の女王様のことを?
馬鹿なやつらだよ、君たちは、ぼくが知ってるのは
君たちが知っていることにすら及ばないっていうのに

ぼくに聞いてみろ 彼女の瞳の色を
ぼくに聞いてみろ 彼女の声の響きを
聞いてみろ 歩き方を 踊り方を 身のこなしを
ああ、ぼくがいったい何を知ってるっていうんだ!

太陽こそが源じゃないのかい
すべての命の、すべての光の?
でも太陽について何を知っているんだ
ぼくや君たちや他のみんなが?何もないだろ


しっとりと歌われる作品の多いシュトラウス初期の傑作Op.10においては珍しくユーモラスで快活な曲ですが、その美しいメロディもあって印象に残ります。ぐちゃぐちゃ語ることができるほどぼくの恋人はつまんない人じゃないんだ、っていうおノロケがなかなかに微笑ましいです。それもあって少々ぞんざいな言い回しで訳してみることにしました。ルチア・ポップや白井光子、エディタ・グルヴェローヴァといった女性陣もそれぞれに魅力的な歌を聴かせてくれますが、私はこの歌はテノールで歌われるのが最も映える曲だと思います。なかなかそんな録音はないのですが、Hyperionレーベルで進行中のR.シュトラウス歌曲全集ではテノールのアンドリュー・ケネディに歌われてなかなか素敵でした。

( 2008.10.01 藤井宏行 )


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