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Dans la forêt de Septembre   Op.85  
  Trois mélodies
九月の森で  
     3つのメロディ

詩: マンデス (Catulle Mendès,1841-1909) フランス
      Dans la forêt de Septembre

曲: フォーレ (Gabriel Fauré,1845-1924) フランス   歌詞言語: フランス語


Ramure aux rumeurs amollies,
Troncs sonores que l'âge creuse,
L'antique forêt douloureuse
S'accorde à nos mélancolies.

Ô sapins agriffés au gouffre,
Nids déserts aux branches brisées,
Halliers brûlés,fleurs sans rosées,
Vous savez bien comme l'on souffre!

Et lorsque l'homme,passant blême,
Pleure dans le bois solitaire,
Des plaintes d'ombre et de mystère
L'accueillent en pleurant de même.

Bonne forêt! promesse ouverte
De l'exil que la vie implore,
Je viens d'un pas alerte encore
Dans ta profondeur encor verte.

Mais d'un fin bouleau de la sente,
Une feuille,un peu rousse,frôle
Ma tête et tremble à mon épaule;
C'est que la forêt vieillissante,

Sachante l'hiver,où tout avorte,
Déjà proche en moi comme en elle,
Me fait l'aumône fraternelle
De sa première feuille morte!

静かにささやく枝
古びて虚ろになった幹
年老いた嘆きの森は
私たちの憂鬱に共鳴する

窪地にへばりつくモミの木
折られた枝でできた見捨てられた鳥の巣
燃えるくさむら、露のない花
お前たちはみな苦しみというのが何だか分かっている!

そしてもし誰かが、蒼ざめて通りかかり
誰もいない森の中で涙を流すときは
影と神秘の嘆きで
森もまた同じように涙を流すのだ

すばらしき森よ!約束された自由よ
人生をたずね歩く世捨て人のための
私は注意深い足取りでさらに行く
お前の一層深い緑の中へと

すると、道端の細い樺の木の
一枚の少し赤みがかった木の葉が
私の頭をかすめ、肩の上で震えた
それはこの年老いた森が

すべてを奪い去る冬が
自分と同じように私にも間近なことを知り
友情の印を贈ったのだった
自らの初めての枯葉で


エマニュエル・シャブリエの友人として、彼の歌曲の歌詞に良く名の見える高踏派詩人カテュール・マンデスの詩に、フォーレはこのOp.85で2曲の歌を書いています。その両者が非常に対照的な作品となっているのが興味深いですが、それには多彩な表情を自在に紡ぎ出すこの詩人の詩の力によるところも大きいでしょう。
この第1曲目、冬の長い中部ヨーロッパでは9月といってももう晩秋の趣きです。死に行く者の虚無感を詩人はこの季節に重ね合わせているのでしょうか。フォーレの後期作品によく見られるような晦渋な趣きのある音楽ではありますがなぜか心に残る音楽です。

( 2008.10.01 藤井宏行 )


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