TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ


Adelaide   Op.46  
 
アデライーデ  
    

詩: マティソン (Friedrich von Matthisson,1761-1831) ドイツ
    In der Fremde (Schweiz und Frankreich) (1787-1794)  Adelaide

曲: ベートーヴェン (Ludwig van Beethoven,1770-1827) ドイツ   歌詞言語: ドイツ語


Einsam wandelt dein Freund im Frühlingsgarten,
Mild vom lieblichen Zauberlicht umflossen,
Das durch wankende Blütenzweige zittert,
Adelaide!

In der spiegelnden Flut,im Schnee der Alpen,
In des sinkenden Tages Goldgewölken,
Im Gefilde der Sterne strahlt dein Bildnis,
Adelaide!

Abendlüfte im zarten Laube flüstern,
Silberglöckchen des Mais im Grase säuseln,
Wellen rauschen und Nachtigallen flöten:
Adelaide!

Einst,o Wunder! entblüht auf meinem Grabe
Eine Blume der Asche meines Herzens;
Deutlich schimmert auf jedem Purpurblättchen:
Adelaide!

ひとりぼっちで君の友は春の庭をさまよう
愛らしい魔法の光にやさしく包まれて
光は揺れ動く花でいっぱいの枝の間より漏れてくる
アデライーデ!

光を映すせせらぎに、アルプスの雪の中に
夕暮れに金色に映える雲の中に
星の世界に 君の姿が輝いている
アデライーデ!

夕べのそよ風は若葉の中でささやく
五月の小さなスズランは草むらの中で鳴っている
波はざわめきナイチンゲールは歌う
アデライーデ!

いつの日か、おお奇跡よ!ぼくの墓の上に咲き出るのだ
ぼくの心臓の灰より生まれた一輪の花が
その紫の葉の一枚一枚にくっきりと映し出されるのは
アデライーデ!


1795-96年に作曲された、ベートーヴェン若き日の傑作です。
彼の歌曲作品にしばしば名前が見られる詩人マティソン(Friedrich von Matthisson 1761-1831)の詩は深みはないですが、自然の素朴で美しい描写が魅力的で、初期のベートーヴェンの清新な音楽のスタイルに非常に良くはまった素晴らしい愛の歌になりました。
微妙に転調を繰り返しながら展開していくところなどは実に芸が細かく、自然の美しさの描写と心のあこがれが絶妙にシンクロしていくところなどはさすが。ゆったりと美しい導入部が最後は感情の高ぶりとともにグイグイと盛り上がっているところなどはベートーヴェンの面目躍如といったところでしょうか。発表当時も非常に人気の高かった曲なのだそうですがそれも頷ける充実した歌曲です。

( 2009.04.01 藤井宏行 )


TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ