Ich kann's nicht fassen,nicht glauben Op.60-3 Frauen-Liebe |
わかんない、信じられない 歌曲集「女の愛」 |
Ich kann's nicht fassen,nicht glauben, Es hat ein Traum mich berückt; Wie hätt' er doch unter allen Mich Arme erhöht und beglückt? Mir war's,er habe gesprochen: Ich bin auf ewig dein - Mir war's - ich träume noch immer, Es kann ja nimmer so sein. O laß im Traume mich sterben, Gewieget an seiner Brust, Den seligsten Tod mich schlürfen In Tränen unendlicher Lust. |
わかんない、信じられない 夢があたしを惑わしているのかしら どうして彼がすべての女性の中から あたしみたいなつまんない女の願いを聞いて幸せにしてくれたの? あたしになのよね、彼がこういったのは: 「ぼくは永遠にあなたのもの」って あたしなのよね-今夢を見ているのは こんなこと絶対にあり得ないんだもの ああ、夢の中で死なせて あの人の胸の中で揺られて この幸せな死を味わいたいの 限りない喜びの涙を流しながら |
思いもかけず憧れの人から告白されちゃた時、女の人はいったいどういうリアクションなのでしょう。この歌詞にあるような情景も男が勝手に作ったファンタジーなのだ、と言われてしまえばそれまでなのですが、私はこの詩、細かな言葉使いも含めて大変に気に入りました。それもありまして前の詩と違って、できるだけ直訳に近づけることを心がけてみましたがいかがなものでしょうか。あまりの嬉しさに頭の中が真っ白になってしまった、という感じがシャミッソーの詩で実にうまく描写されているなあ、と直訳してみて私は感動させられました。シューマンの曲では激しい動揺が短調の強い響きによって強調されていましたが、ここでレーヴェはうきうき踊るようなワルツのメロディをつけました。とはいいながら喜び一杯というよりはじんわりと嬉しさを噛み締めるといった味のある音楽です。最後も穏やかに終わります。
( 2008.09.30 藤井宏行 )