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Er,der Herrlichste von allen   Op.60-2  
  Frauen-Liebe
彼って、誰よりも一番ステキだわ  
     歌曲集「女の愛」

詩: シャミッソー (Adelbert von Chamisso,1781-1838) ドイツ
    Lieder und lyrisch epische Gedichte - Frauen-Liebe und Leben 2 Er,der Herrlichste von allen

曲: レーヴェ (Johann Carl Gottfried Loewe,1796-1869) ドイツ   歌詞言語: ドイツ語


Er,der Herrlichste von allen,
Wie so milde,wie so gut!
Holde Lippen,klares Auge,
Heller Sinn und fester Mut.

So wie dort in blauer Tiefe,
Hell und herrlich,jener Stern,
Also er an meinem Himmel,
Hell und herrlich,hoch und fern.

Wandle,wandle deine Bahnen;
Nur betrachten deinen Schein,
Nur in Demut ihn betrachten,
Selig nur und traurig sein!

Höre nicht mein stilles Beten,
Deinem Glücke nur geweiht;
Darfst mich niedre Magd nicht kennen,
Hoher Stern der Herrlichkeit!

Nur die Würdigste von allen
Soll beglücken deine Wahl,
Und ich will die Hohe segnen,
Segnen viele tausendmal.

Will mich freuen dann und weinen,
Selig,selig bin ich dann;
Sollte mir das Herz auch brechen,
Brich,o Herz,was liegt daran!

彼って、誰よりも一番ステキだわ
なんて優しくて、なんていい人なの!
優しそうな口元、澄んだ瞳
明るい性格とブレない勇気

あの空の、青い深みの中で
明るく輝いているあの星のように
彼もまた あたしの心の中で
明るく輝かしく、でもステキすぎて手が届かない

行ってね、行ってね、あなたの道を
あたしはただあなたの輝きを見つめるわ
ただつつましく その輝きを見つめるわ
幸せ一杯に、そして悲しさで一杯に!

あたしのひそやかな祈りを聞かないで
あなたの幸運だけに捧げたこの祈りを
あたしのようなつまらない女のことは知らないでしょ
あなたのような輝く遠くの星は!

誰よりも素晴らしい女の人だけが
あなたに選ばれる幸せを受けられるのよね
その時にはあたしは祝福をしましょう
祝福を 何千回でも

そしてあたしは喜び、そして泣くの
幸せなの、そう幸せなんだから
もしあたしの心が張り裂けるのなら
張り裂けるがいいわ、おお心よ、それくらい何よ!


これもこんな感じで訳すと、ノートに自作のポエムでも書いていそうな高校生くらいの女の子のイメージが濃厚にしませんでしょうか。クラスの女の子全員の憧れ、野球部のS君に告白したいんだけれど恥ずかしくてできないシャイなオトメ、といった感じの初々しさがなかなかに微笑ましく私には感じられます。確かにおやっと驚かされるような言葉が原詩には並んではいるのですが、それをそのまま直訳してしまうから見苦しい自己卑下のように見えてしまうのであって、実際はノートに書かれた自作のポエムでは言葉は激しいんだけれども、実際心に思っているのはこんなことなのではないか、と思いながら訳語を選んでみました。レーヴェの曲は、あの人への憧れを見せるところでは華やかな行進曲調。シューマンの付けた「手伝ってよ妹たちよ」の最後のところのような曲想です。ただ「この恋は実るはずなどないのだわ」と悲観している第3・6連は音楽も悲しみを湛えて曲に深みを与えています。

( 2008.09.30 藤井宏行 )


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