The Year's at the Spring Op.44-1 3 Browning Songs |
春の朝 3つのブラウニングの歌 |
The year's at the spring, And day's at the morn; Morning's at seven; The hill-side's dew pearl'd; The lark's on the wing; The snail's on the thorn; God's in His heav'n - All's right with the world! |
今は春 春の朝 朝の7時 丘の上には朝露 ヒバリは飛び カタツムリは枝を這う 神は天にまし すべてはあるがままに |
これも「山のあなた」(ベルクの項で紹介)同様、海潮音の上田敏の名訳で知られる有名な詩です。
立派な訳があるのにわざわざ下手な訳で皆様のお目を汚すこともないのですが、やはりそこはご勘弁下さい。自分で訳してみたいということもありますが、またある意味直訳調の方がこの詩の素晴らしさがよく分かる側面もあるのではないかなと思うからです。
何かの詩の解説書にあったのですが、まず時間が年→季節→時刻へとズームインしていき、そして情景も広い田園風景から一匹のカタツムリへとズームインしていく。そして最後に壮大に自然と神の栄光を賛えるというスタイルはとても印象的です。
作曲者のビーチは、ピアノ協奏曲やピアノ5重奏曲などがVOXやASVでリリースされている、最近またリバイバルしつつあるアメリカの女性作曲家です。シューマンとフォーレ(初期)を掛け合わせたような曲を書く人だなあという印象があるのですが(なかなか私には好ましい)、私が聴いたことのある歌曲はこの1曲のみです。
以前掲示板で佐藤さんが称賛されていたアメリカのテノール、Robert White のHyperionに入れたアメリカ歌曲集の中に収録されているのですが、1分足らずの曲であるにも関わらず熱気に溢れてなかなか印象深かったです(曲の雰囲気はシューベルトの「美しき水車小屋の娘」のUngeduld(いらだち)にソックリです)。
海潮音の名詩につけた歌曲はもっといろいろ探訪してみたいですね。
( 2000.03.13 藤井宏行 )