TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ


Sie trugen ihn auf der Bahre bloss   Op.67-3 TrV 238  
  3 Lieder der Ophelia
あの人は死化粧もせずに棺に入れられた  
     3つのオフィーリアの歌

詩: ジムロック (Karl Joseph Simrock,1802-1876) ドイツ
      They bore him barefaced on the bier 原詩: William Shakespeare シェイクスピア,Hamlet (ハムレット)

曲: シュトラウス,リヒャルト (Richard Strauss,1864-1949) ドイツ   歌詞言語: ドイツ語


Sie trugen ihn auf der Bahre bloß
Leider,ach leider,den Liebsten!
Manche Träne fiel in des Grabes Schoß
Fahr wohl,fahr wohl,meine Taube!

Mein junger frischer Hansel ist's,
Der mir gefällt - Und kommt er nimmermehr?

Er ist tot,o weh!
In dein Totbett geh,
Er kommt dir nimmermehr.

Sein Bart war weiß wie Schnee,
Sein Haupt wie Flachs dazu.
Er ist hin,er ist hin,
Kein Trauern bringt Gewinn:

Mit seiner Seele Ruh
Und mit allen Christenseelen!
Darum bet ich! Gott sei mit euch!

人々はあの人を裸の棺台に乗せて運んでいった
悲しい、ああ悲しい、愛する人!
いっぱいの涙が墓石を濡らした
さよなら、さよなら、私の恋人!

若く元気な私のコマドリ
好きだったのに-もう戻らないの?

あの人は死んだ、ああ!
だからあなたも死の床に行くがいい
あの人はあなたの元には戻ってこないんだから

あの人の髭は雪のように白く
あの人の頭も亜麻のようになった
あの人は逝ってしまった、あの人は逝ってしまった
どんなに悼んでも詮無きこと

あの人の魂の安らぎを
すべてのクリスチャンの魂と共に!
だから私は祈るの、神様のご加護がありますように!


シュトラウスの書いたオフィーリアの歌、最後の曲はその曲想が怖いくらいに分裂しているのが特徴でしょう。ひたすら暗く嘆いていた冒頭部が、私のコマドリ(Henselというのが私の辞書にはなかったのですが、シェイクスピアの原詩ではRobinでしたのでコマドリと訳しています)のところで突如ブチ切れてダンス音楽のように踊り出し、またもとの陰鬱な気持ちに戻ったかと思うと「あの人の髭が」のところでまた躁状態に、そしてまた暗くなり、と言った風に病的なまでの感情の揺らぎが怖いほどです。
意外とこんな斬新な表現が受けてか、けっこうこのオフィーリアの3つの歌、取り上げるソプラノの人も多いような感じです。少なくともこれを書くに至った前の歌曲集「商人の鑑」や、同じOp.67の後半のゲーテの詩による歌曲よりも圧倒的に聴ける録音は多いです。

( 2008.09.15 藤井宏行 )


TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ