Wie erkenn' ich mein Treulieb Op.67-1 TrV 238 3 Lieder der Ophelia |
どうやって見分けるの 本当の恋人を 3つのオフィーリアの歌 |
Wie erkenn' ich mein Treulieb Vor andern nun? An dem Muschelhut und Stab Und den Sandalschuh'n. Er ist tot und lange hin, Tot und hin,Fräulein! Ihm zu Häupten grünes Gras, Ihm zu Fuß ein Stein. Oho! Auf seinem Bahrtuch,weiß wie Schnee, Viel liebe Blumen trauern. Sie gehn zu Grabe naß, O weh! vor Liebesschauern. |
どうやって見分けるの 本当の恋人を 他の人たちから? それは貝殻帽子と杖 そしてサンダル靴 あの人は死んで遠くへ行った 死んで遠くへ、お嬢さん! あの人の頭の上には緑の草 足元には石が、おお 雪のように白いあの人の死装束の上で たくさんの愛らしい花たちも悲しんでいる 花たちもじめじめした墓へと行ってしまったの ああ!愛のにわか雨の前に |
怪しげに踊る死の舞踏のような不気味なピアノ伴奏に乗せてひたすら淡々と静かに語るように歌われるこの歌、全体的にも非常に不気味です。シェイクスピアの傑作悲劇「ハムレット」の中で、オフィーリアの狂気を描写している3つの歌、古今東西の色々な作曲家が曲をつけておりますけれども、その中でもリヒャルト・シュトラウスのつけた曲はひときわ強烈なオーラを発しています。
その理由のひとつはたぶんこの曲が、音楽出版社との係争に負けて書かざるを得なかったということにもあるのではないかと思います。Op.66の「商人の鑑」のところでも書きましたけれども、この曲は例の「歌う罵倒」とも言える歌曲集「商人の鑑」が受け取りを拒否され、代わりに彼が書かざるを得なくなった別の歌曲集のうちの前半3曲。おそらくじっくりと想を練る時間すらなかったのだと思いますが、それが逆に恐ろしく鮮烈な、前衛的とさえ言える音楽を生み出しました。とりわけ第3曲目がすさまじいですが、他の2曲も強烈です。
この曲などもシェーンベルクやウェーベルンの無調時代の歌曲を思わせるようなもの。最後の叫びのところで伴奏のピアノが突如キャバレーソングのようなデカダンスを漂わせるところかまた不思議なのではありますけれども...
( 2008.09.15 藤井宏行 )