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Schwanengesang   Op.23-3 D 744  
 
白鳥の歌  
    

詩: ゼン (Johann Chrysostomos Senn,1792-1857) オーストリア
      

曲: シューベルト (Franz Peter Schubert,1797-1828) オーストリア   歌詞言語: ドイツ語


Wie klag' ich's aus,das Sterbegefühl,
Das auflösend durch die Glieder rinnt,
Wie sing' ich's aus,das Werdegefühl,
Das erlösend dich,o Geist,anweht.

Er klagt',er sang,
Vernichtungsbang,
Verklärungsfroh,
Bis das Leben floh.
Das bedeutet des Schwanen Gesang.

私はいかに訴えようか、
体内に溶けて流れる死の感情を。
私はいかに歌おうか、
おお精神よ、おまえを解き放ち、吹きつける生成の感情を。

それは嘆き、それは歌った、
破滅の不安を、
浄化の喜びを、
ついに命が逃げ去るときまで。
これが白鳥の歌の意味なのだ。


作詩のヨーハン・ゼン(Johann Chrysostomos Senn: 1795.4.1,Pfunds,Tyrol - 1857.9.30,Innsbruck)については「幸福の世界」の項をご覧いただきたい。

「白鳥の歌」はもちろん著名な14曲の歌曲集とは無縁で、単独の作品である。
白鳥は死の直前に美しく鳴くという伝承にもとづいた詩で、シューベルトは「死と少女」などに共通する長短短のリズムを使って、死を間際にした澄み切った心情を静謐に美しく表現している。
変イ長調、2分の2拍子で、表示は「非常にゆっくりと(Sehr langsam)」。
歌声部の最高音は2点ト音、最低音は1点変ホ音で1オクターヴ強の音域である。
全23小節の曲で楽譜も1枚に収まるが、速度がゆっくりな為、演奏するのに数分かかる。

私はF=ディースカウ&ムーアの全集での録音(DG: 1969年3月録音)でこの曲を知ったのでその演奏が今も気に入っている。

( 2008.09.01 フランツ・ペーター )


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