Vcherashnjaja noch’ Op.60-1 12 Romansov |
昨日の夜 12のロマンス |
Vcherashnjaja noch’ byla tak svetla. Vcherashnjaja noch’ vse zvezdy zazhgla tak jasno, Chto,gljadja na kholmy i dremljushchij les, Na vody,blestjashchie bleskom nebes, Ja dumal: o,zhit’ v etom mire chudes prekrasno! Prekrasny i volny i dal’ stepej, Prekrasna v odezhde zelenykh vetvej dubrava; Prekrasna ljubov’ s vechno svezhim venkom, I druzhby zvezda s neizmennym luchom, I pesen vostorg s ozarennym chelom,i slava! Vzgljanul ja na nebo,tam tverd’ jasna; Vysoko,vysoko voskhodit ona nad bezdnoj; Tam zvezdy zhivye katjatsja v ogne... I detskoe chuvstvo prosnulos’ vo mne; I dumal ja: luchshe nam v toj vyshine nadzvezdnoj! |
昨日の夜はとても明るかった 昨日の夜は星たちが明るくきらめいていた 星たちは丘や夢見ている森を見つめ 天の輝きを映す水面を見つめていた 私は思った:この世界に生きているとはなんと素晴らしいことかと! 広大で穂が波打つ草原も美しく 緑をまとったカシの木々も美しい 美しい愛も永遠にみずみずしい花輪をまとい 友情の星も輝き続けている そして歌声も人々の顔を輝かせるのだ、栄光に! 私は空を見上げる、空は澄んでいる 高く、高く空は昇る 深淵の上を 生きている星たちは炎の中を踊る 子供のような感情が私に沸き起こる 私は思うのだ:もしあの星たちの高みに行くことができたらなあ、と |
12曲からなる歌曲集Op.60(1886)は「夜の歌曲集」と言って良いほどに夜をテーマにした曲が集中している歌曲集です。「夜」というタイトルが付いているものだけでもこの曲を皮切りに6曲目の「狂おしい夜」と9曲目の「夜」、それに4曲目のナイチンゲールも夜の鳥ですし7曲目のジプシーのお別れも夜のお別れです。そして最終曲も星空の下のデートの思い出をしみじみと思い出すというシチュエーション。明るく楽しい夜から暗く悲しい夜まで、多彩な夜の表情が面白い作品です。もっとも集中して取り上げられることはほとんどなく、ごく一部の曲が単独で取り上げられることがたまにある程度というのが寂しいですが。詩と音楽の総合的な充実度から言っても、この歌曲集、チャイコフスキー歌曲の集大成ではないかと私は聴きながら感じました。できれば全曲取り上げたかったところなのですが私ではあまりに力不足。取り上げられなかった曲も素晴らしいものばかりですのでぜひ機会がありましたら調べてみてください。
第一曲目は明るく楽しい夜の情景ですね。子供っぽく稚拙なところも詩人はわざと狙って書いたのでしょう。
( 2008.08.01 藤井宏行 )