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Ljubov’ mertvetsa   Op.38-5  
  6 Romansov
死者の愛  
     6つのロマンス

詩: レールモントフ (Mikhail Yur'yevich Lermontov,1814-1841) ロシア
      Любовь мертвеца  (1841)

曲: チャイコフスキー (Pyotr Ilyich Tchaikovsky,1840-1893) ロシア   歌詞言語: ロシア語


Puskaj kholodnoju zemleju
Zasypan ja,
O drug! vsegda vezde s toboju
Dusha moja,
dusha moja vsegda,vezde s toboj!

Ljubvi bezumnogo tomlen’ja,
Zhilets mogil,
V strane pokoja i zabven’ja
Ja ne zabyl.

Bez strakha v chas poslednej muki
Pokinuv svet,
Otrady zhdal ja ot razluki -
Razluki net!

Chto mne sijan’e bozh’ej vlasti
I raj svjatoj?
Ja perenes zemnye strasti
Tuda s soboj.

Laskaju ja mechtu rodnuju,
Vezde odnu;
Zhelaju,plachu i revnuju,
Kak v starinu.

Kosnetsja l’ chuzhdoe dykhan’e
Tvoikh lanit,-
Moja dusha v nemom stradan’i
Vsja zadrozhit;

Sluchitsja l’ shepchesh’,zasypaja,
Ty o drugom -
Tvoi slova tekut,pylaja,
Po mne ognem!

Puskaj kholodnoju zemleju
Zasypan ja,
O drug! vsegda vezde s toboju
Dusha moja,
dusha moja vsegda,vezde s toboj!

たとえ冷たい土に覆われて
我が身が横たわっていようとも
おお愛する人よ!いつも、いつも、どこに君がいようと
我が魂は君と共にある
我が魂はいつも、どこでも君と共にある

愛の狂おしくも苦しい渇望は
我が身が墓の中にあろうとも
平和と忘却の地にあろうとも
忘れることはできぬ

最後の苦悩の時も恐れはしない
私はこの世に残してきたのだ
別離によって安息を臨んだが
別離はなかった!

私にとって神の輝かしき王国とは何だ
そして祝福された楽園とは?
私は地上にありし時持っていた熱情を
ここでも持ってきている

大切な夢を
今でも持ち続けている
私は求め、泣き、嫉妬する
昔と同じように

もし誰かの吐息が
君の髪に触れようものなら
我が魂は苦悩のうちに
打ち震えるであろう

君が目覚めし時にいつも
別の者の名を呼ぶならば
君の言葉はすべてを燃やす炎となって
私を焼き尽くすのだ

たとえ冷たい土に覆われて
我が身が横たわっていようとも
おお愛する人よ!いつも、いつも、どこに君がいようと
我が魂は君と共にある
我が魂はいつも、どこでも君と共にある


チャイコフスキーが唯一、レールモントフの詩につけた歌曲です。この詩に彼が曲を付けたのにはちょっとしたエピソードがありました。1877年に愛のない結婚騒動で深く心に動揺をきたしたチャイコフスキーはロシアを逃げ出し、西欧の都市をその翌年の春にかけ転々とします。そんな旅の最中、彼は2月のフィレンツェで、1876年より知り合っていたフォン・メック夫人より手紙を受け取ります。その手紙に添えられていたのがこの詩を含むいくつかのレールモントフの詩。その中から彼はこの詩を選び、そして騒動のあとの初めての歌曲を書きます。
精神の甦りのためには一度死と再生を必要としたのでしょうか、非常に興味深いところです。同じ年の5月にOp.38-1〜4の傑作を生み出す先駆けとなった歌曲としても注目に値します。これはバス歌手のレパートリーのようで、ホロフトフスキーやレイフェルクスの深みのある歌唱が聴けます。

( 2008.08.01 藤井宏行 )


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