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Kak naladili: “Durak”   Op.25-6  
  6 Romansov
愚か者と言われて  
     6つのロマンス

詩: メイ (Lev Aleksandrovich Mei,1822-1862) ロシア
      Песня (1860)

曲: チャイコフスキー (Pyotr Ilyich Tchaikovsky,1840-1893) ロシア   歌詞言語: ロシア語


Kak naladili: “Durak,
Bros’ khodit’ v tsarev kabak!”
Tak i ladjat vse odno:
“Pej ty vodu,ne vino; -
Von khosh’ rechke poklonis’,
KHosh’ u bystroj pouchis’.”

Uzh ja k rechen’ke pojdu,
S rechkoj rechi povedu:
“Govorjat mne: ty umna,-
Poklonjus’ tebe do dna,
Nauchi ty,kak mne byt’,
P’janstvom ljuda ne sramit’?

Kak v tebja moju reku,
Utopit’ zmeju tosku?
A nauchish’,vek togda,
Ispolat’ tebe,voda,
CHto otbila duraka
Ot tsareva kabaka!`”

みんながしつこく言うには「愚か者め
皇帝の酒場なんて行くんじゃないよ」
そいでもって口を揃えて言うんだ
「水を飲みな、ワインの代わりに
川の水に頭を下げて
流れに教えてもらうがいい」

そこでさっそく川に行き
川に話しかけることにしたよ
「みんなあんたのことカシコイっていうから
土下座して頼んます
教えてください、おいらがどうやったら
大酒飲みがやめられるのかを?

どうすれば、なあ小川さんよ
あんたの中においらのミジメさを沈められるのかを?
教えてくれたなら、永遠に
おいらはあんたをほめたたえます
あんたはこの愚か者を
皇帝の酒場から救い出してくれたんですから」


これは華麗で優雅なメロディの曲の多いチャイコフスキーにしては珍しく朴訥でゴツゴツした趣の民謡風の歌です。作曲者名を知らずに聴いたらムソルグスキーかボロディンの作品と言われても信じてしまいそう。
ユーモラスだけれども、ほんのちょっぴり悲しみに満ちた音楽はとても印象的で、チャイコフスキーにしてはかなり異色ですが素敵な歌です。幸いなことにバスのボリス・クリストフが彼のロシア歌曲集(EMI)の中で実に味わい深く歌ってくれています。
この歌の入っている彼の録音したEMIの5枚組CDをもしお持ちの方があれば、同じ詩にバラキレフが曲をつけたものも収録されていますので聴き比べてみるのも乙なものではないかと思います。意外や意外、この2曲に関して言えばチャイコフスキーの方が圧倒的に土臭くて味わい深いです。

( 2008.08.01 藤井宏行 )


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