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Pogodi   Op.16-2  
  6 Romansov
もうちょっと待って  
     6つのロマンス

詩: グレーコフ (Nikolai Porfiryevich Grekov,1810-1866) ロシア
      Wilt Thou Be Gone,Love? 原詩: William Shakespeare シェイクスピア,Romeo and Juliet (ロメオとジュリエット)

曲: チャイコフスキー (Pyotr Ilyich Tchaikovsky,1840-1893) ロシア   歌詞言語: ロシア語


Pogodi! Dlja chego toropit’sja!
Ved’ i tak zhizn’ nesetsja streloj!
Pogodi! Pogodi! ty uspeesh’ prostit’sja,
Kak luchami vostok zagoritsja.
No dozhdemsja l’ my nochi takoj?

Posmotri,posmotri,kak chudesno
Ubran zvezdami kupol nebesnyj!
Kak mechtatel’no smotrit luna!
Kak temno v etoj seni drevesnoj,
I kakaja vezde tishina!

Tol’ko slyshno,kak shepchut berezy,
Da stuchit serdtse v pylkoj grudi...
Vozdukh ves’ polon zapakhom rozy...
Milyj drug! Eto zhizn’,a ne grezy!
Zhizn’ letit... pogodi!
Zhizn’ letit... pogodi!

もうちょっと待って!どうして急ぐの!
人生はあっという間に過ぎていくというのに
もうちょっと待って!もうちょっと待って!お別れをいう時間はあるわ
東の空が明るくなるときにね
こんな夜を私たち今まで見たことがあったかしら?

見て!見て!なんて素晴らしい
天球の星たちの輝き
なんて夢見る心地 月を眺めるのって
なんて暗いのかしら この森の中は
そしてあたりはなんて静かなの!

聞こえるのはただ 白樺のささやきと
この胸で脈打つ心臓の音だけ
空気はバラの花の香りで満たされている
ダーリン!これは本当のことよ、夢じゃないの!
人生は飛び去る...もうちょっと待って!
人生は飛び去る...もうちょっと待って!


恋人に帰らないで!と哀願しながら引き止めている非常に可愛らしい詞、実はこの作者グレーコフ翻訳のシェイクスピアの有名な戯曲「ロメオとジュリエット」第3幕第5場でジュリエットがキャプレット家の庭に忍び込んできたロメオを夜明けまでは一緒にいましょうよ、と引き止めているシーンで使われているものなのだそうです。そんな背景を知らずとも、このロマンティックな歌は一度聴いただけで非常に印象に残ります。とりわけ中間部で夜空の美しさを描写している時にピアノ伴奏に現れるメロディは溜息が出るくらい美しく、しかもそのメロディがまた最後にピアノの後奏で現れてくる絶妙さ。
意外と歌う人が多くないのが残念ですが、私は彼の傑作歌曲のひとつだと思っています。
1872年の作品。

( 2008.08.01 藤井宏行 )


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