Zvonche zhavoronka pen’e Op.43-1 Vesnoj |
ヒバリの歌がさわやかに響く 春に |
Zvonche zhavoronka pen’e, Jarche veshnie tsvety, Serdtse polno vdokhnoven’ja, Nebo polno krasoty. Razorvav toski okovy, Tsepi poshlye razbiv, Nabegaet zhizni novoj Torzhestvujushchij priliv, I zvuchit svezho i juno Novykh sil moguchij stroj, Kak natjanutye struny Mezhdu nebom i zemlej. |
ヒバリの歌がさわやかに響く 春の花よりも明るく響く 心は喜びで一杯だ 空は美しさで一杯だ 苦悩からの束縛を打ち破り 鎖を断ち切るのだ 新しい命が現れる 勝利の潮とともに そしてみずみずしく若々しい響き 新たな力強い和音が鳴る 張り詰められた弦のように 天と地上に張られた弦のように |
これは耽美的で美しいメロディてんこ盛りのリムスキー=コルサコフ歌曲においては非常に異色の作品で、まるで運動会の応援歌のような元気の良い歌。確かに美しいメロディではありますが、彼の歌曲をまとめて聴くときに出てくると多少の違和感はあります。
長いロシアの冬が終わり、また素晴らしい春がめぐってきた喜びをはじけるように歌うのは、確かにこの曲想がぴったりではあるのですが。ヴィシネフスカヤのように元気良く歌いすぎるとどうしても私は運動会を連想してしまいます。
その辺はもっと線の細いソプラノのネタニア・ダヴラツやテノールのセルゲイ・ラーリンといった人たちの歌が清々しくてこの詩情により合っているように思えます。
リムスキー=コルサコフは1897年にOp.39〜Op.51あたりの、彼の歌曲の代表曲と言えるような作品ほとんど含む歌曲集を集中して書いています。その中で目立つのはタイトル付きの歌曲集が3つあること。この曲を含む歌曲集「春に」は4曲からなり、有名な「高みから吹く風が」が第2曲になります。第3曲のみフェートの詩「かぐわしく爽やかなあなたの立派な花環」ですが、他の3曲はすべてアレクセイ・トルストイの詩で、しかも第4曲はチャイコフスキーの曲が有名な「それは早春のことだった」です。いずれも曲を聴いたことがありませんのでアップは控えておきますが、聴ける機会が将来ありましたらこれらの訳詞も載せてみたいと思います。
( 2008.08.01 藤井宏行 )