Pesnja zjulejki Op.26-4 Chetyre romansa |
ズライカの歌 4つのロマンス |
Ljubovnik rozy-solovej prislal tebe tsvetok svoj milyj: on budet pesneju svoej vsju noch’ plenjat’ tvoj dukh unylyj. On ljubit pet’ v tishi nochej, i dyshit pesn’ ego toskoju; No,obnadezhennyj mechtoju, spoet on pesnju veselej. I s dumoj tajnoju moej tebja kosnetsja pen’ja sladost’ i napoet na serdtse radost’ ljubovni rozy-solovej. |
バラに恋したナイチンゲールは お前に愛する花を贈り届けた やつは歌い続けるだろう 一晩中お前の寂しい心を魅惑しようと 鳥は夜の静けさの中で歌うのが好きなのだ そしてその歌は悲しみに息づく だが 夢に触発されて もっと陽気な歌を歌うだろう そして私の秘めた心から お前は甘美な歌に触れる そして心に喜びを歌いかけるのだ バラに恋したナイチンゲールは |
バイロンの物語詩「アバイドスの花嫁 The Bride of Abydos (1813)」の中の詩「トルコの物語 Turkish tale」を下敷きにイワン・コズロフが書いた詩に付けた曲です。
バイロンの詩とはかなり趣きが違うようにも感じられますが、これはこれでなかなか味わいのある詞です。ズライカというのはこの物語のヒロイン、トルコの大公ギアフィールの一人娘で、兄(と思っていた)セリムに恋心を寄せ、親の勧める結婚に逆らって彼に会います。そのあたりのシチュエーションをこのバラとナイチンゲールの恋物語になぞらえているのでしょうか。
音楽の方はリムスキー=コルサコフにしてはかなりシューマン風のつくりでかなり珍しいスタイルです。もっともロシア語で歌われるので結局ロシアン・ロマンスの雰囲気が濃厚に出て参りますけれども。
意外と聴ける録音がないのが残念です。ボリス・クリストフのロシア歌曲集(EMI)には収録されていて、深い味わいにみちた名唱ではありましたが、これは女声で聴いてみたい曲のひとつです。
バイロンの原詩はEmily EzustのLied Textページによれば次のようなものだそうです。かなりコリツォフのものとは内容が違い、こちらは歌物語のテーマをいくつも織り込んでいます。コリツォフの方はそれらをそぎ落としてバラとナイチンゲールにより強くスポットを当てていますので、これはロシア語訳ではなく翻案になるでしょうか。
Turkish tale
This rose to calm my brother's cares
a message from the Bulbul bears;
It says to-night he will prolong
For Selim's ear his sweetest song;
And though his note is somewhat sad,
He'll try for once a strain more glad,
With some faint hope his alter'd lay
May sing these gloomy thoughts away.
( 2008.08.01 藤井宏行 )