Na kholmakh Gruzii Op.3-4 Chetyre romansa |
グルジアの丘の上に 4つのロマンス |
Na kholmakh Gruzii lezhit nochnaja mgla, Shumit Aragva predo mnoju. Mne grustno i legko: pechal’ moja svetla, Pechal’ moja polna toboju Toboj,toboj odnoj. Unyn’ja moego Nichto ne muchit,ne trevozhit, I serdtse vnov’ gorit i b’etsja ottogo, Chto ne ljubit’ ono ne mozhet. |
グルジアの丘の上に夜霧が立ちこめ アラグヴァ川の音が私のそばで聞こえる 悲しいけれど心は軽い、私の悲しみは明るいのだ この悲しみは君への思いで満たされている 君だけに、ただ君だけに、我が憂いを 苦しめ、心乱すものはない そして再び心臓は燃えて脈打つ、なぜなら 私は愛さずにはいられないからだ |
プーシキンの有名な詩に若きリムスキー=コルサコフが曲をつけています。既に首都に戻された1826年作の詩だそうですが、1820年に首都ぺテルスブルクを追放された年に行ったコーカサス旅行の思い出を綴っています。このときの旅を共にしたマリア・ラエフスキーがちょうどこの1826年、デカブリストとしてシベリア流刑になった夫の後を追ってシベリアに旅立つにあたって捧げたものなのだそうです。1866年にリムスキー=コルサコフによって作曲された、中央アジア風の浸りこむような悲しいメロディは熱烈な恋の詩であるにも関わらず、何とも言えない郷愁を誘います。彼の初期歌曲作品にあっては「バラとナイチンゲール」に並んでよく取り上げられ、たくさんの録音を耳にすることができるかと思います。
( 2008.08.01 藤井宏行 )