Fragment 6 Lieder |
断章 6つの歌 |
Das Angenehme dieser Welt hab' ich genossen, Der Jugend Freuden,wie lang! wie lang! verflossen, April und Mai und Julius sind ferne, Ich bin nichts mehr,ich lebe nicht mehr gerne! |
心地よいこの世界を かつてわたしは楽しんだ その若き日々は なんとはるかに! なんとはるかに過ぎ去ったことか! 4月と5月と7月は遠く 今のわたしは無だ もはや生きる喜びはない! |
ヒンデミットの「ヘルダーリンの詩による6つの歌曲」の第5曲。詩はヘルダーリンの「精神の薄明」時代の無題の作です。 なぜ4月5月ときて6月が無く7月に飛んでしまうのかはわかりません。ドイツに梅雨は無いと思いますが・・・。いずれにせよ、若き日の充実した創作活動、ディオティーマとの至上の愛の終焉から40年もの長きにわたり、精神の薄明に生き永らえなければならなかった詩人の孤独が胸を打ちます。
フィッシャー=ディースカウも録音していますが、わたしが気に入っているのはシュライヤー盤で、歌曲集全6曲を収めています(徳間:カップリングはプロコフィエフ)。甘さの無い孤独で慎ましい音楽 が詩にふさわしく、シュライヤーの真摯な歌唱、またオルベルツの澄んだ響きのピアノ伴奏も好ましいです。
( 2003.02.11 甲斐貴也 )