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Kolybel’naja pesnja    
 
農夫の子守唄  
    

詩: オストローフスキイ (Aleksandr Nikolayevich Ostrovsky,1823-1886) ロシア
      

曲: ムソルグスキー (Modest Petrovich Mussorgsky,1839-1881) ロシア   歌詞言語: ロシア語


Baju,baju,mil vnuchenochek,
Ty spi,usni,usni,krest’janskij syn.
Baju,baju,doprezh dedy ne vidali bedy,
beda prishla,da bedu privela
s napastjami,da s propastjami,
s pravezhami,beda vse s pobojami!

Baju,baju,mil vnuchenochek,
ty syn,usni,usni,krest’janskij syn.
Izzhivem bedu za rabotushkoj,
za nemiloj,chuzhoj,nepokladnoju,
vekovechnoju,zloju,stradnoju,zloju,stradnoju.

Baju,baju,spi,usni pokol’ izzhivem bedu,
izzhivem bedu,gore minetsja
pokol’ Bog prostit,tsar’ sramitsja.

Baju,baju,baju
Belym tel’tsem lezhish’ v ljulechke,
tvoja dushen’ka v nebesakh letit,
tvoj tikhij son sam Gospod’ khranit.
Po bokam stojat svetly angely,stojat angely!

ねんねんころり 可愛い孫の坊や
ねむれよ ねむれ 百姓のせがれよ
ねんねんころりよ、ご先祖様は不幸な目にゃ逢わなかったに
不幸はやってきた 次から次へとやってきた
破滅やら借金やら
鞭打ちと一緒にあらゆる不幸が

ねんねんころり 可愛い孫の坊や
ねむれよ ねむれ 百姓のせがれよ
働けば不幸はなくなるさ
つらい仕事、人様の仕事、休む間もなく、終わりもない
ひどい仕事だがな、ひどい仕事だがな

ねんねんころり 可愛い孫の坊や、不幸はなくなるさ
不幸はなくなるさ、悲しみはすぐに過ぎ去るさ
神様が助けて下さる、皇帝様がお慈悲を下さる

ねんねんころりよ
白い体を揺りかごに乗せて
おまえの魂は天空を飛んでる
おまえの静かな眠りは神様が守ってくださるよ
両脇には輝く天使さまが立っている、天使様が!


たくさんの子守唄を書いたムソルグスキーのこれも傑作。虐げられた弱者への優しい眼差しはここでも健在です。この内容で作詞が彼自身でないのがちょっと不思議な気もしますが、この当時でも社会改革に目覚めた芸術家たちのこんなメッセージは溢れていたのでしょう。
つらい現実を歌いながらも、静かに眠る孫の姿を見ているとなぜだか元気が湧いてくる、最後の節はとりわけ感動的です。
3連目の「皇帝さまがお慈悲を」の節は改訂されて歌われなくなっているようですが。

もともとこの歌は、オストローフスキイが書いたコメディ「ヴォエヴォーダ(地方長官)」の中の劇中歌だったのだそうで、ムソルグスキーの他にもたくさんの人が曲をつけています。というよりも恐らくは劇かこの歌が評判を取ったためにたくさんの人が取り上げるようになったというところでしょうか。 ムソルグスキーもあとから曲を付けた一人なのでしょう。というのはもともとの詩は6連からなる有節歌曲で、ムソルグスキーはそこから継ぎはぎにおいしいフレーズだけ取り出して歌にしているからです。第1連だけは元のままですが、あとはけっこう細切れです。

( 2008.08.01 藤井宏行 )


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