Arion Op.34-5 Chetyrnadtsat’ romansov |
アリオン 14のロマンス |
Nas bylo mnogo na chelne: Inye parus naprjagali, Drugie druzhno upirali V glub’ moshchny vesla. V tishine, Na rul’ sklonjas’,nash kormishchik umnyj V molchan’i pravil gruznyj cheln; A ja bespechnoj very poln Plovtsam ja pel... Vdrug lono voln Izmjal s naletu vikhor’ shumnyj... Pogib i kormshchik i plovets! Lish’ ja,tainstvennyj pevets, Na bereg vybroshen grozoju. Ja gimny prezhnie poju, I rizu vlazhnuju moju Sushu na solntse pod skaloju. |
私たちには多くの仲間の乗組員がいた ある者たちは帆を張り べつのある者たちは一斉に漕いでいた 力強い櫂を水の中へと 静けさの中 舵にもたれかかって、われらが賢明な操舵手は この重い積荷の船を無言で操っていた 私は信頼しきって 水夫たちに歌を歌っていた 突然幾重もの波が 激しい突風にかき乱された 操舵手も水夫も死んでしまった ただ私だけが、この神秘の歌い手だけが 嵐の中岸辺へと投げ出されたのだ 私はいつもと同じ賛歌を歌いながら この濡れた服を乾かす 太陽の中、この岩の上で |
前奏の叩きつけるようなピアノのメロディが耳に残る個性的な曲です。アリオンといえばギリシャ神話の中に出てくる詩人ですが、ここではプーシキン自身がアリオンに自分自身をなぞらえて歌っているのでしょう。ラフマニノフもこのロシア革命前夜の騒然とした時代に、芸術の不滅を信じてこの詩に激しいメロディを付けたのでしょうか。
( 2008.08.01 藤井宏行 )