U moego okna Op.26-10 Pjatnadtsat’ romansov |
私の窓辺に 15のロマンス |
U moego okna cheremukha tsvetet, Tsvetet zadumchivo pod rizoj serebristoj... I vetkoj svezhej i dushistoj Sklonilas’ i zovet... Ee trepeshchushchikh vozdushnykh lepestkov Ja radostno lovlju veseloe dykhan’e, Ikh sladkij aromat tumanit mne soznan’e, I pesni o ljubvi oni pojut bez slov... |
私の窓辺にミザクラの花が咲いている 銀色の仮根の下に 物思うように咲いている そしてみずみずしく、かぐわしい枝を 垂らして呼びかける... 花の震える軽やかな花びら 私は喜んでその香りを吸い込む 花の甘い香りは私の意識をぼんやりさせる その歌う歌は言葉なき愛の歌 |
「ここはすばらしい Op.21-7」や「ライラック Op.21-5」に通じる、美しい歌のメロディとそれに寄り添う技巧の粋を尽くしたピアノとが幻想的な雰囲気を醸しだす典型的ラフマニノフ歌曲です。ただこれら2曲と比べると、詩をご覧頂ければ予想されますように耽美的な色合いがより強く出た歌のように感じられます。
ひたすらに美しいのですが少々臆面がなさ過ぎるといいましょうか。素晴らしい作品だとは思うのですが取り上げられる頻度が前2者に比べるとどうしても負けてしまうのはそんなところも原因でしょうか。
( 2008.08.01 藤井宏行 )