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The Boatmen's Dance    
  Old American Songs 1
船漕ぎのダンス  
     古いアメリカの歌 T

詩: ダニエル・エメット (Daniel Decatur Emmett,1815-1904) アメリカ
      

曲: コープランド (Aaron Copland,1900-1990) アメリカ   歌詞言語: 英語


High row the boatmen row,
Floatin’ down the river the Ohio.

The boatmen dance,the boatmen sing,
The boatmen up to ev’rything.
And when the boatman gets on shore
He spends his cash and works for more.

High row the boatmen row,
Floatin’ down the river the Ohio.

Then dance the boatmen dance,
O dance the boatmen dance.
O dance all night ?til broad daylight,
And go home with the gals in the mornin?.

High row the boatmen row,
Floatin’ down the river the Ohio.

I went on board the other day
To see what the boatmen had to say.
There I let my passion loose
An’ they cram me in the callaboose.
O dance the boatmen dance. . .

High row the boatmen row,
Floatin’ down the river the Ohio.

The boatman is a thrifty man,
There’s none can do as the boatman can.
I never see a pretty gal in my life
But that she was a boatman’s wife.
O dance the boatmen dance. . .

High row the boatmen row,
Floatin’ down the river the Ohio.

さあ 漕げ 船漕ぎたちよ 漕げ
この川を下ってオハイオを

船漕ぎたちゃ踊る、船漕ぎたちゃ歌う
船漕ぎたちゃ何でもできる
そして船漕ぎたちゃ陸に上がりゃあ
金を使っちゃまたもっと稼ぐ

さあ 漕げ 船漕ぎたちよ 漕げ
この川を下ってオハイオを

それから踊れ 船漕ぎたちよ踊れ
おお 船漕ぎダンスを踊れ
一晩中踊れ すっかり日が昇るまで
そしたらギャルたち連れて朝帰りだぜ

さあ 漕げ 船漕ぎたちよ 漕げ
この川を下ってオハイオを

ある日おれは船に乗った
船漕ぎの連中が何でいうだろうかと思ってな
船の上でおれはキレちまったもんだから
やつらはおれを船倉にぶちこみやがった
おお踊れ 船漕ぎのダンスを

さあ 漕げ 船漕ぎたちよ 漕げ
この川を下ってオハイオを

船漕ぎってやつは抜け目ない
やつほどうまくやれるやつはいない
おれは人生であれほどの美人に会ったことはない
だがそいつは別の船漕ぎの女房だった
おお踊れ、船漕ぎのダンスを

さあ 漕げ 船漕ぎたちよ 漕げ
この川を下ってオハイオを


コープランドの編曲した「古いアメリカの歌」、その第1集の冒頭を飾るのは朗々と歌われる舟歌。ゆったりと歌われる「さあ 漕げ」の部分と、リズミカルにユーモラスに歌われる主部との対比がなかなか面白い曲です。この曲を書いたとされているのはダニエル・エメット、南北戦争のときの南軍のテーマ曲のようになったミンストレルソング「ディキシーランド」の作曲者として知られた人です。この歌もそうしてみると「ディキシー」同様に白人のコメディアンたちが黒人奴隷の装いをして滑稽なギャグを連発するミンストレルショーの中の歌だったのでしょうか。歌詞にはいくつか俗語らしきものが見受けられますが、コープランドが編曲するときに手を入れたのか歌詞自体には黒人訛りは現れてきていません(エメットのオリジナルではタイトルがDe Boatmen's Danceとなっており、The→Deの訛りがありましたのできっとそうだと思われます)。とはいいながら少々難しい言い回しもありましてうまく意味が取れなかったところもあります。誤訳などあるかとは思いますがご容赦ください。
コープランドの編集した「古いアメリカの歌」第1集はイギリスのテノール、ピーター・ピアーズの委嘱で作られたのだそうで、初演も彼の歌に作曲家のベンジャミン・ブリテンのピアノ伴奏だったのだそうです。このいかにもアメリカンといった感じの歌曲集を彼らがどう料理したのか非常に興味を惹かれるところではありますが、残念ながら私はまだ彼らの演奏の記録を耳にできておりません。何だか残ってはいそうな気はするのですけれどもどなたかご存知の方はおられませんでしょうか。

( 2008.08.01 藤井宏行 )


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