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The chariot    
  Twelve poems of Emily Dickinson
馬車  
     エミリー・ディキンソンの12の詩による歌曲

詩: ディキンソン (Emily Elizabeth Dickinson,1830-1886) アメリカ
      Because I would not stop for Death

曲: コープランド (Aaron Copland,1900-1990) アメリカ   歌詞言語: 英語


Because I would not stop for Death,
He kindly stopped for me;
The carriage held but just ourselves
and Immortality.

We slowly drove,he knew no haste,
And I had put away
My labour,and my leisure too
For his civility.

We passed the school where children played,
Their lessons scarcely done
We passed the fields of gazing grain,
We passed the setting sun.

We paused before a house that seemed
a swelling of the ground;
The roof was scarcely visible,
The cornice but a mound.

Since then 'tis centuries; but each
Feels shorter than the day
I first surmised the horses' heads
Were toward eternity.


あたしは死のために立ち止まったりはしなかったから
死の方がご親切にもあたしのために止まってくれた
馬車の中にはただあたしたちと
それと「不滅」だけが乗っていた

あたしたちはゆっくりと走った、死は急ぐことを知らないし
あたしはもう放り出していた
あたしの仕事のことも、そして楽しみのことも
彼の好意に甘えて

あたしたちは学校を通り過ぎた、子供たちが遊んでる
授業なんかほとんど終わってない学校を
あたしたちはじっと見つめる穀物の畑を通り過ぎた
沈む夕日を通り過ぎた

あたしたちはとある家の前に停まった
地面が膨れ上がったように見える家の
その屋根はほとんど見えず
蛇腹屋根はただ土の山

そのときから何世紀もたった、でも一年一年は
あの日よりもずっと短いように思える
あたしが初め馬の頭が
永遠に向かっているのだと思った日よりも


ディキンソンを研究されておられる方などの文章を読むと、この詩が彼女の最高傑作、という評価をされているのを良く見かけます。彼女の死生観を一篇の詩で代表させるとしたらやはりこれになるのでしょうか。馬車を御してやってくる死神と、そして死に臨む主人公の目の前にめくるめくも現われてくる景色はまるで幽体離脱をして眺めている現世のよう。確かに鮮烈なイメージを喚起する詩ではあります。
コープランドも最初はこの詩に興味を惹かれ、歌曲とした後に他の11篇を取り上げて結果的にこの歌曲集が出来上がったという経緯があるようです。
この最後の曲だけが詩の冒頭がタイトルではなく、作曲者によって「馬車」というタイトルが付けられています。

( 2007.12.30 藤井宏行 )


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