The Spirit's Song XXVIa no.41 |
亡霊の歌 |
Hark! Hark,what I tell to thee, Nor sorrow o'er the tomb; My spirit wanders free, And waits till thine shall come. All pensive and alone, I see thee sit and weep, Thy head upon the stone Where my cold ashes sleep. I watch thy speaking eyes, And mark each falling tear; I catch thy passing sighs, Ere they are lost in air. Hark! Hark,what I tell to thee, Nor sorrow o'er the tomb; My spirit wanders free, And waits till thine shall come. |
ねえ聞いて、聞いて、私の言うことを、 私のお墓の上で悲しんだりしないで。 私の魂は自由にどこへでもいけるのです。 そして貴方が来るのを待っているわ。 すっかり憂いに沈んで、寂しげな貴方が 座って、泣いているのが見える。 貴方の頭は石の上にもたれ、 その下には、私の冷たい骨(灰)がある。 貴方が語りかける目を見つめ、 私はそこから落ちる涙を数えている。 貴方がもらすため息を、それが空中に消える前に、 私が受け取ります。 ねえ聞いて、聞いて、私の言うことを、 私のお墓の上で悲しんだりしないで。 私の魂は自由にどこへでもいけるのです。 そして貴方が来るのを待っているわ。 |
ハイドンの英語の詩によるカンツォネッタの一つです。この詩の作者アン・ハンターの詩について、ハイドンはかなりたくさんの歌曲を作成しています。(アン・ハンターは、ハイドンがロンドンを訪れたときに知り合った女流詩人で、彼女が医者の夫を亡くしてから、ハイドンと彼女の間に単なる友情を超えたものが生まれたと、いう人もある)この幽霊の歌の詩はちょっと変わっています。幽霊の立場からのこういう詩ってあまり読んだことがないですね。(ちょっとR.シュトラウスの「万霊節」を思い出しました)かなり長い曲ですがピアノの伴奏も素晴らしい。
ハイドンの歌曲の録音というと、極度に少ないですがこの曲については、
アメリングの全集(ピアノはデームス)
オーリン・オジェー(ピアノはオルベルツ)
オッター(フォルテピアノによる伴奏、メルビン・タン)
という3種を聴くことが出来ました。
アメリングはこれをかなり劇的に歌っており、あまりこの歌と合っていません。ひそやかにしっとりと歌うオジェーを私はとりたいと思います。
( 2003.09.01 稲傘武雄 )