Why do they shut me out of Heaven? Twelve poems of Emily Dickinson |
どうしてあたしを天国から締め出そうとするの? エミリー・ディキンソンの12の詩による歌曲 |
Why do they shut me out of Heaven? Did I sing too loud? But I can sing a little minor, Timid as a bird. Wouldn't the angels try me just once more Just see if I troubled them... But don't shut the door,don't shut the door... Oh if I were the gentlemen in the white robes and they were the little hand that knocked, Could I forbid,could I forbid,could I forbid? Why do they shut me out of Heaven? Did I sing too loud? |
どうしてあたしを天国から締め出そうとするの? あたしが大声で歌ったから? でもあたしはもっと小さな声でも歌えるのよ 臆病な小鳥のように 天使たちがもう一度だけあたしにチャンスをくれることはないのかしら ただあたしが彼らに迷惑をかけているかどうかを見るだけでもいいのに... でもドアを閉めないで、ドアを閉めないで... おお もしあたしの方が白い上着を着た紳士たちであったなら そしてあの方たちが扉を叩く小さな手だったとしたなら あたしに拒めるかしら、拒めるかしら、拒めるかしら? どうしてあたしを天国から締め出そうとするの? あたしが大声で歌ったから? |
これはディキンソンの比較的初期の詩のようです。決して神様を信じられないわけではなかったのだけれど、礼拝や日々の生活における形式的な清教徒的な戒律にはどうしてもなじめなかった詩人は、自分は救われないのではないかという疎外感を持ち、そんな中で書かれたこの詩において、その気持ちを素直にぶつけています。でも私がこれってお茶目だなあ...と感じるのは、彼女を「戒律に従わぬものは天国には入ることまかりならぬ」と締め出した天使たち(白い上着を着た紳士たち、と遠まわしの表現ですが)が彼女と立場が入れ替わって「天国に俺たちも入れてくれ〜」とドアを叩く小さな手として、そして彼女自身が逆に彼ら天使たちの立場で受け入れるかどうかを決められるのであったなら、と夢想しているところです。
この曲は管弦楽に編曲された8曲の中には含まれていません。楚々としたユーモアが柄の大きな管弦楽伴奏になじまないと判断されたのでしょうか。興味深いところです。
( 2007.12.30 藤井宏行 )