Långsamt som qvällskyn Op.61-1 8 Laulut |
ゆっくりと夕暮れの空が 8つの歌 |
Långsamt som qvällskyn mister sin purpur Der öfver mils fjärdens blänkande slätt, Sakta som brisen somnar derborta långt, Så att ögat ej skönjer dot rätt, Fjerran som ekot dör efter sista utdragna Tonen af skärflickans sång, Skall jag dig glömma,du,som gaf purpur, Vårbris och toner åt lifvet engång! |
ゆっくりと夕暮れの空がその紫色を失っていくように 広がるフィヨルドの輝く平地の上で 穏やかにそよ風が彼方で眠り込むように その目にははっきりと正確には見分けられぬほどに こだまが最後に溶け入った後に消え去るように バラ色の乙女たちの歌う声のこだまが そんな風に私がお前を忘れてしまうというのか、この紫色の空と 春のそよ風と歌声を人生にもたらしてくれたお前を |
このタヴァストシェルナの詩を読んでいて感じたのは、まるで日本の万葉集の歌のような感じだなあということ。「山鳥の あしびきの尾の しだり尾の」じゃないですが、長々し枕詞を並べて言いたいことは最後の2行に尽きるというところが大変に興味深い作りの詩です。そしてここにシベリウスがつけた曲もシンプルで、そしてたいへんしみじみとした余韻に満ちたもの。
この夕暮れの静けさの中でしみじみと遠く離れた恋人を想っている情景がじんわりとにじみ出てきます。
菅野浩和氏がまとめたシベリウス歌曲全集の中での詳細な解説の中では、この曲は玄人筋にはえらく評判が高いようですが、一般的にはほとんど取り上げられることもないようです。私が聴いたのもトム・クラウゼの歌ったこの歌曲全集中の録音のみ。ただ彼の温かみのある声はこの曲に非常に良くマッチして素晴らしい聴きものでした。
( 2007.12.18 藤井宏行 )