Es liebte einst ein Hase Op.66-3 TrV 236 Krämerspiegel |
昔 ウサギが惚れ込んだ 商人の鑑 |
Es liebte einst ein Hase Die salbungsvolle Phrase, Obschon wie ist das sonderbar, Sein Breitkopf hart und härter war. Hu,wisst ihr,was mein Hase tut? Oft saugt er Komponistenblut Und platzt hernach vor Edelmut. |
むかし ウサギが惚れ込みましたんや えろうコテコテの美辞麗句に けどな それらがけったい過ぎましたによってな やつめの空っぽの石頭は ますます固うなりましてん ヘえ で このウサギはん どないなったかわかりまっか? たびたび 作曲家の血い吸うてからなあ その気高い心に中毒してから 破裂してまいました |
ここで出てくるウサギ(Hase)氏とは、シュトラウスとやはり対立していたBreitkopf und Harthel社の支配人でした。空っぽの石頭(Breitkopf hart)というのも社名のもじりであるのは申し上げるまでもないですね。1・2曲以上の歌詞のこっぴどい描写の仕方はあの出版社以上にひどい恨みがあるのかいな?と思えてしまうほどのものですが、音楽はそれほど強烈ではありません。というよりもリストの歌曲のようにピアノ伴奏に装飾音をバリバリに効かせて陶酔的に歌います、と思っていると最後に強烈なオチ。最後の一行、とくにplatzt(破裂する)はそれまで抑えていたものを一気に吐き出すがごとく爆発します。しかも2度も繰り返して...このあたり、ペーター・シュライヤーの歌うこの歌が見事過ぎて言葉もありません。スゴイです。
( 2007.12.01 藤井宏行 )