TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ


Es liebte einst ein Hase   Op.66-3 TrV 236  
  Krämerspiegel
昔 ウサギが惚れ込んだ  
     商人の鑑

詩: ケル (Alfred Kerr,1867-1948) ドイツ
    Krämerspiegel  

曲: シュトラウス,リヒャルト (Richard Strauss,1864-1949) ドイツ   歌詞言語: ドイツ語


Es liebte einst ein Hase
Die salbungsvolle Phrase,
Obschon wie ist das sonderbar,
Sein Breitkopf hart und härter war.
Hu,wisst ihr,was mein Hase tut?
Oft saugt er Komponistenblut
Und platzt hernach vor Edelmut.

むかし ウサギが惚れ込みましたんや
えろうコテコテの美辞麗句に
けどな それらがけったい過ぎましたによってな
やつめの空っぽの石頭は ますます固うなりましてん
ヘえ で このウサギはん どないなったかわかりまっか?
たびたび 作曲家の血い吸うてからなあ
その気高い心に中毒してから 破裂してまいました


ここで出てくるウサギ(Hase)氏とは、シュトラウスとやはり対立していたBreitkopf und Harthel社の支配人でした。空っぽの石頭(Breitkopf hart)というのも社名のもじりであるのは申し上げるまでもないですね。1・2曲以上の歌詞のこっぴどい描写の仕方はあの出版社以上にひどい恨みがあるのかいな?と思えてしまうほどのものですが、音楽はそれほど強烈ではありません。というよりもリストの歌曲のようにピアノ伴奏に装飾音をバリバリに効かせて陶酔的に歌います、と思っていると最後に強烈なオチ。最後の一行、とくにplatzt(破裂する)はそれまで抑えていたものを一気に吐き出すがごとく爆発します。しかも2度も繰り返して...このあたり、ペーター・シュライヤーの歌うこの歌が見事過ぎて言葉もありません。スゴイです。

( 2007.12.01 藤井宏行 )


TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ