Einst kam der Bock als Bote Op.66-2 TrV 236 Krämerspiegel |
あるとき牡山羊が使者になり 商人の鑑 |
Einst kam der Bock als Bote Zum Rosenkavalier an's Haus, Er klopft mit seiner Pfote, Den Eingang wehrt ein Rosenstrauss. Der Strauss sticht seine Dornen schnell Dem Botenbock durch's dicke Fell. O Bock,zieh mit gesenktem Sterz Hinterwärts,hinterwärts! |
あるとき牡山羊が使者になりましてからな 薔薇の騎士の館にやってきたんですわ で 奴め前足でノックしたもんでっからな 薔薇の花束のほうは入ろうするんを止めようとしたんです そいで花束はえろう素早くその棘でな 牡山羊の使者のぶ厚い毛皮を刺したんですわ 山羊公め 尾っぽを巻いてからなあ とっとと失せなはれ とっとと失せなはれ |
2曲目も前の曲と同じく、牡山羊(Bock)氏の登場です。実はこの出版社の名前がBote und Bock社なので、牡山羊の使者とは社名そのままなのですね。さらにここではシュトラウスの傑作楽劇「薔薇の騎士」さながらに薔薇の使者。音楽もあの楽劇の爛熟した甘美な雰囲気を感じさせながら、詞はなんとも嫌味たっぷりです。なお言うまでもありませんが薔薇の「花束」のStraussとはもちろん作曲家自身のことです。シュトラウス(花束)とボック(牡山羊)の戦い、棘が効いてシュトラウスの勝ちといったところでしょうか。
( 2007.12.01 藤井宏行 )