Give This to Mother |
これをお袋に渡してくれ |
Take I pray thee this small locket, Brother soldier ere I die; Life is flick'ring in its socket, And my spirit soon will fly; I am dying,comrade dying, Far from home and her I love; Death with life is strongly vying, And I soon will be above. (refrain) Take this locket,soldier,brother, Don't forget,give this to mother. Comrade hear those angels singing, See beyond the brilliant light; Hear you joybells sweetly ringing; Shade my vision from God's sigh; Death had come,my eyes grow dimmer, Let me comrade touch your hand, Ere the stars of ev'ning glimmer, I will find a fairer land. (refrain) Take this locket,soldier,brother, Don't forget,give this to mother. |
受け取ってくれ お願いだ この小さなロケットを 兄弟よ 俺はもうダメだ 命の灯はもう蜀台の上でちらつき出し 俺の魂はもうすぐに昇天だ 俺はもうダメだ、兄弟よ、もうダメだ 遠くのふるさとにゃ 愛するお袋がいる 生と死が激しくせめぎあっているが 俺はすぐにあの世へ行くだろう (リフレイン) 受け取ってくれ 兄弟よ お袋に忘れずにこいつを渡してくれよ 兄弟よ 天使たちが歌うのを聴けよ あの輝かしい光を見ろよ 聞けよ喜びの鐘がやさしく響くのを 神様の視線から俺の幻影を翳らせよ 死がやってきたぞ 俺の目はかすんでいく おい兄弟よ、お前の手を握らせてくれ 星たちが夕闇に輝き出す前に 俺は天国を見つけるんだ (リフレイン) 受け取ってくれ 兄弟よ お袋に忘れずにこいつを渡してくれよ |
日本でいえば「ここはお国を何百里」でかつて一世を風靡した歌「戦友」で聴かれたような情景です。戦死してゆく兵士が薄れ行く意識の中で形見の品を故郷の母に渡してくれるよう戦友に頼むところ。
南北戦争のさなか、こういう歌を涙しながら聴いた家族がどれほど多くいたのでしょうか。アメリカ史上で現在もこれを越えていない多数の戦死者を出したこの戦争、この曲の楽譜には「ワシントン郊外での戦場で実際にあった話から取られている」とあります。本当に実話かどうかはともかく、こんな光景は戦場となったところでは数多く繰り広げられたことでしょう。
フォスター最晩年の1864年の作品ですが、この年まだ戦争は終わっておらず、彼によってもこの62〜64年にかけてはいくつもの戦争の歌が書かれています。このサイトでもそれらのうちいくつかは取り上げています。
悲しい内容ですが、メロディは淡々と流れる長調、音楽だけ聴いているとラブ・バラードみたいです。
けっこういい音楽だと思うのですが歌詞が歌詞だけに今や忘れられてしまっているのでしょうね。
( 2007.11.30 藤井宏行 )