My Old Kentucky Home,Good Night! |
わが懐かしいケンタッキーの家よ おやすみ! |
The sun shines bright in the old Kentucky home, 'Tis summer,the darkies are gay, The corn top's ripe and the meadow's in the bloom While the birds make music all the day. The young folks roll on the little cabin floor, All merry,all happy and bright: By'n by Hard Times comes a knocking at the door, Then my old Kentucky Home,good night! (chorus) Weep no more,my lady, Oh! weep no more today! We will sing one song For the old Kentucky Home, For the old Kentucky Home,far away. They hunt no more for the possum and the coon On the meadow,the hill and the shore, They sing no more by the glimmer of the moon, On the bench by the old cabin door. The day goes by like a shadow o'er the heart, With sorrow where all was delight: The time has come when the darkies have to part, Then my old Kentucky Home,good night! (chorus) Weep no more,my lady, Oh! weep no more today! We will sing one song For the old Kentucky Home, For the old Kentucky Home,far away. The head must bow and the back will have to bend, Wherever the darkey may go: A few more days,and the trouble all will end In the field where the sugar canes grow. A few more days for to tote the weary load, No matter 'twill never be light, A few more days till we totter on the road, Then my old Kentucky Home,good night! (chorus) Weep no more,my lady, Oh! weep no more today! We will sing one song For the old Kentucky Home, For the old Kentucky Home,far away. |
太陽は明るく輝く この懐かしいケンタッキーの家に 今は夏、黒人たちも陽気だ トウモロコシも熟し 牧場も花盛りだ 鳥たちも一日中音楽を奏でてる 若い連中は小さなキャビンの床に転がってる みな陽気で、幸せで、明るかった だがやがてつらい時がドアを叩きにくる さあおいらの懐かしいケンタッキーの家よ、おやすみ (コーラス) もう泣くんじゃない 恋人よ おお! 今日はもう泣かないで! おいらたちも歌を歌おう あの懐かしいケンタッキーの家に向け はるか遠くの懐かしいケンタッキーの家へ みんなもうフクロネズミもアライグマも狩らない あの草地やあの丘、あの岸辺でも みんなもう歌わない 月明かりの下 古い小屋の戸のそばのベンチでも 日々は過ぎ去る 心にのしかかる暗い影のように 喜びに満ちていたはずなのに 悲しみで一杯だ 時がきたのだ 黒人たちが去らねばならぬ時が さあおいらの懐かしいケンタッキーの家よ、おやすみ (コーラス) もう泣くんじゃない 恋人よ おお! 今日はもう泣かないで! おいらたちも歌を歌おう あの懐かしいケンタッキーの家に向け はるか遠くの懐かしいケンタッキーの家へ 頭を下げて腰をかかめなくちゃならぬ 黒人たちはどこへ行くにも あともう何日かすれば 辛いこともみな終わるだろう このサトウキビの育つ畑で あと数日だ 重たい荷を運ぶのは どんなにしても軽くならない荷を あと数日だ この道をとぼとぼ歩くのも さあおいらの懐かしいケンタッキーの家よ、おやすみ (コーラス) もう泣くんじゃない 恋人よ おお! 今日はもう泣かないで! おいらたちも歌を歌おう あの懐かしいケンタッキーの家に向け はるか遠くの懐かしいケンタッキーの家へ |
1853年作のこの曲は今やケンタッキーの州歌ともなっています。またケンタッキーフライドチキンのCMソングとしてもおなじみのところでしょうか。メロディはそういうわけで日本でも良く知られているのですが、歌詞がこんなにも悲惨な内容であったというのは私も今回訳してみて初めて知りました。翌年の傑作「Hard times come again no more」と同じように辛い時代をはやく逃れようともがく歌です。この歌でも1番に「Hard Times(厳しい時代)が戸口を叩く」という一節がありますね。経済的理由か、あるいは政治的な理由かは分かりませんが、懐かしいケンタッキーの家を遠く離れて暮らさなければならなくなった黒人たちの苦境。最後の節にはサトウキビ畑、とありますので奴隷として更に南、フロリダあたりの別のプランテーションへと売り渡された、ということが描写されているのではないかとも想像されます。「あと数日だ」と3番で繰り返されているのも実は決して終わることのない奴隷としての苦役を歌っているのだろうと思うと切ないですね。
3番の最初の「頭を下げ、腰をかがめる」とあるのは差別され、白人の支配者たちにへりくだらなければならない、という解釈にしましたが、ここはそうではなく苦役で疲れ果てて頭は垂れ腰は曲がった、ということなのかも知れません。
歌詞にはもう黒人訛りは使われておらず、メロディもどちらかというとフォスターの中でも彼のルーツにつながるアイリッシュトラッド系の色合いが濃い作品のように聴いていて思えます。
( 2007.11.30 藤井宏行 )