Ronsard à son âme M.75 |
ロンサールの己が魂に |
Amelette Ronsardelette, Mignonnelette,doucelette, Trés chére hostesse de mon corps, Tu descens là-bas,faiblelette, Pasle,maigrelette,seulette, Dans le froid royaume des mors; Toutesfois simple,sans remors De meurtre,poison,et rancune, Méprisant faveurs et trésors, Tant enviez par la commune. Passant,j'ay dit: suy ta fortune, Ne trouble mon repos,je dors. |
小さな魂 小さなロンサールの 小さな愛らしさ 小さなやさしさ この体のとても大切なご主人さま おまえはあそこへ降りていく、弱弱しく 蒼ざめ、小さくやせ細り、小さく孤独で 死んだ者たちの冷たい王国の中へと 全くも質素に、後悔もなく 殺人や、毒舌や、怨恨の後悔も また人気や財産を軽蔑しながら 世の人々に羨ましがられたこれら二つのものを 通り過ぎる人よ、私は言った:汝の運命を受け入れよと わが休息を妨げるな われは眠る |
1924年、16世紀の詩人ピエール・ロンサールの生誕四百年を記念して書かれた作品です。
ラヴェルお得意のアルカイックでシンプルな響きが淡々と中世の音楽を思わせながら流れていく様は時が止まるかのよう。しかしじっくり聴くと実に豊穣で斬新な音楽です。
詩は古い言葉が多いのでよくわからなかったのですが何となく感じをつかんでみました。初めの方の言葉にlette(小さな)がしつこいくらいついているのは非常に面白いです。自分の名前にまで。そこでそれらの語には全部「小さな」をつけておきました。
「小さく孤独」って何じゃとかいう疑問はロンサールに聞いてください。
カウンターテナーのドミニク・ヴィスが歌ったこの歌が息が止まるような絶品です。ほのかな艶めかしさが意外といいんです。
( 2007.11.23 藤井宏行 )