Sailor's Chanty |
水夫小唄 |
A trader sailed from Stepney town -- Wake her up! Shake her up! Try her with the mainsail! A trader sailed from Stepney town With a keg full of gold and a velvet gown: Ho,the bully rover Jack, Waiting with his yard aback Out upon the Lowland sea! The trader he had a daughter fair -- Wake her up! Shake her up! Try her with the foresail The trader he had a daughter fair, She had gold in her ears,and gold in her hair: All for bully rover Jack, Waiting with his yard aback, Out upon the Lowland sea! 'Alas the day,oh daughter mine!' -- Shake her up! Wake her up! Try her with the topsail! 'Alas the day,oh daughter mine! Yon red,red flag is a fearsome sign!' Ho,the bully rover Jack, Reaching on the weather tack, Out upon the Lowland sea! 'A fearsome flag!' the maiden cried -- Wake her up! Shake her up! Try her with the jibsail! 'A fearsome flag!' the maiden cried, But comelier men I never have spied!' Ho,the bully rover Jack, Reaching on the weather tack, Out upon the Lowland sea! There's a wooden path that the rovers know -- Wake her up! Shake her up! Try her with the headsails! There's a wooden path that the rovers know, Where none come back,though many must go: Ho,the bully rover Jack, Lying with his yard aback, Out upon the Lowland sea! Where is the trader of Stepney town? -- Wake her up! Shake her up! Every stick a-bending! Where is the trader of Stepney town? There's gold on the capstan,and blood on the gown: Ho for bully rover Jack, Waiting with his yard aback, Out upon the Lowland sea! Where is the maiden who knelt at his side? -- Wake her up! Shake her up! Every stitch a-drawing! Where is the maiden who knelt at his side? We gowned her in scarlet,and chose her our bride: Ho,the bully rover Jack, Reaching on the weather tack, Right across the Lowland sea! So it's up and its over to Stornoway Bay, Pack it on! Crack it on! Try her with the stunsails! It's off on a bowline to Stornoway Bay, Where the liquor is good and the lasses are gay: Waiting for their bully Jack, Watching for him sailing back, Right across the Lowland sea. |
船乗りが出帆した ステプニーの町から 船を起こせ!揺り起こせ!船を操れ メーンスルで! 船乗りが出帆した ステプニーの町から 金とヴェルベットのガウンがぎっしり詰まった樽と一緒に ホウ あの大将 さすらいのジャックが 待ってるぜ 帆桁を裏帆にして ローランドの海の上 船乗りにゃきれいな娘がいた 船を起こせ!揺り起こせ!船を操れ フォアスルで! 船乗りにゃきれいな娘がいた その娘は金の耳飾りに金の髪飾りをしてた みんな 大将 さすらいのジャックのためさ 待ってるぜ 帆桁を裏帆にして ローランドの海の上 ああ 何ということだ、おお わが娘よ! 船を起こせ!揺り起こせ!船を操れ トップスルで! ああ 何ということだ、おお わが娘よ! あそこの赤い、赤い旗は恐ろしき印! ホウ あの大将 さすらいのジャックが ウエザー・タックに手を伸ばす ローランドの海の上 恐ろしい旗だわ 娘は叫んだ―― 船を起こせ!揺り起こせ!船を操れ ジブスルで! 恐ろしい旗だわ 娘は叫んだ―― でもこんなにカッコイイ人たち 私見たことないわ! ホウ あの大将 さすらいのジャックが ウエザー・タックに手を伸ばす ローランドの海の上 そこには木の道がある 放浪者たちが知ってる 船を起こせ!揺り起こせ!船を操れ ヘッドスルで! そこには木の道がある 放浪者たちが知ってる 誰も戻って来たことのない だが行かにゃならない みんな 大将 さすらいのジャックのためさ 寝そべってるぜ 帆桁を裏帆にして ローランドの海の上 どこにいる ステプニーの町の船乗りは?-- 船を起こせ!揺り起こせ!すべてのstickをbending! どこにいる ステプニーの町の船乗りは? 黄金があるぞ 巻上機の上 そして血がガウンの上に ホウ あの大将 さすらいのジャックが 待ってるぜ 帆桁を裏帆にして ローランドの海の上 どこにいる そいつの側にいたあの娘は?-- 船を起こせ!揺り起こせ!すべてのstickをbending! どこにいる そいつの側にいたあの娘は? 俺たちゃその娘に真っ赤な服を着せ 俺たちの花嫁に選んだんだ ホウ あの大将 さすらいのジャックが ウエザー・タックに手を伸ばす ローランドの海の上 こうしてようやく 船はストーノーウェイの入り江にたどり着く 接岸しろ!ぶっつけろ!船を操れ スタンスルで! もやい綱をかけろ ストーノーウェイの入り江に 酒は旨いし 姉ちゃんは陽気だ 待ってるぜ あの大将ジャックを 航海から戻ってくるのを見届けよう ローランドの海を横切って |
英語の詩がスラングっぽいので(しかも19世紀の)意味が取れているかどうか自信がないのですが、この曲の詩、あのシャーロック・ホームズの作者アーサー・コナン・ドイルの手になる歌曲です。
イギリスというと、昔7つの海を支配するといわれた海の国、海のロマンを歌った歌やオペラも多くありますが、イギリス民謡のアレンジや、超絶技巧のピアノ編曲ものをたくさん遺し、今日本でも注目の(もうブームは去ったかも)パーシー・グレインジャーにもこんな作品があったのですね。
彼の作品、歌曲は全部で70曲近くあるそうですが、そのほとんどが民謡の編曲で、オリジナル作品は10数曲しかないようです。その意味ではこれも貴重なオリジナルなのですが、いつ民謡になってもおかしくないようなテイストの歌です。水夫の鼻歌を模したような歌ですから、覚えやすいリフレインが繰り返し繰り返し現れ(Ho! the bully rover Jack, Waiting with his yard aback, Out upon the lowland sea!)、甲板のモップ掛けでもしながら歌っているような雰囲気がなかなか良く出ています。
グレインジャーの歌曲は、Chandosからリリースのグレインジャーエディションの中で、バリトン・ソプラノetc.と声の質毎に分けて録音されていますが、これはバリトン編、Varcoeの歌で収録されています。
(2000.11.22)
訳を大幅に見直し、原詩を添付しました。船乗りの専門用語やら俗語やらが飛び交っておりますので異邦人が意味を取るのはほぼ不可能な感じですけれども取りあえず分かる範囲で。
メーンスル,(大檣帆)・フォアスル(前檣帆)、トップスル(中檣帆)など
( 2000.11.22 藤井宏行 )