一つのメルヘン |
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秋の夜は はるかの彼方に 小石ばかりの 河原があって それに陽は さらさらと さらさらと射しているのでありました 陽といっても まるで硅石か何かのようで 非常な個体の粉末のようで さればこそ さらさらと かすかな音を立ててもいるのでした さて小石の上に 今しも一つの蝶がとまり 淡い それでいてくっきりとした 影を落としているのでした やがてその蝶がみえなくなると いつのまにか 今迄流れてもいなかった川床に 水は さらさらと さらさらと流れているのでありました...... |
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( 2021.09.24 藤井宏行 )