Die geheimnisvolle Flöte Op.54-2 Nachdichtung aus “Die chinesische Flöte” |
神秘の笛 「中国の笛」よりの詩 |
An einem Abend,da die Blumen dufteten Und alle Blätter an den Bäumen,trug der Wind mir Das Lied einer entfernten Flöte zu. Da schnitt Ich einen Weidenzweig vom Strauche,und Mein Lied flog,Antwort gebend,durch die blühende Nacht. Seit jenem Abend hören,wann die Erde schläft, Die Vögel ein Gespräch in ihrer Sprache. |
ある夕べ、そこには花の香ただよい 木の葉はみな木々の上にあり、風が我がもとに運ぶのは 異国の笛の音、そこで折り取ったのだ われは茂みより一本の柳の枝を、すると わが歌は飛翔し、答えを返そうとする、この花盛りの夜を抜けて そしてあの夜より聞えてくる、大地の眠るとき 鳥たちの鳥の言葉の語らいが |
ウェーベルンが同じ詩にメロディをつけています(Op.12-2) 原詩は李白の「春夜洛城聞笛」だそうです。詩は次の通り。
誰家玉笛暗飛声(誰が家の玉笛ぞ暗に声を飛ばす)
散入春風満洛城(散じて春風に入り洛城に満つ)
此夜曲中聞折柳(此夜 曲中に折柳を聞く)
何人不起故園情(何人ぞ起こさざらん 故園の情)
ベートゲの例にもれず、これもかなりの脚色の激しいドイツ語詩です。もともとは望郷の詩であったはずですが、ベートゲの手にかかるとおとぎ話の一節のようになりました。しかしながら幻想的な雰囲気はウェーベルンの音楽に非常にしっくりきています。
( 2021.08.23 藤井宏行 )