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Paysage sentimental   L 45  
 
センチメンタルな情景  
    

詩: ブールジェ (Paul Bourget,1852-1935) フランス
    Les aveux - Amour  Paysage sentimental

曲: ドビュッシー (Claude Achille Debussy,1862-1918) フランス   歌詞言語: フランス語


Le ciel d'hiver,si doux,si triste,si dormant,
Où le soleil errait parmi des vapeurs blanches,
Etait pareil au doux,au profond sentiment
Qui nous rendait heureux mélancoliquement
Par cet après-midi de baisers sous les branches.

Branches mortes qu'aucun souffle ne remuait,
Branches noires avec quelque feuille fanée.
Ah! que ta bouche s'est à ma bouche donée
Plus tendrement encore dans ce grand bois muet,
Et dans cette langueur de la mort de l'année,

La mort de tout sinon de toi que j'aime tant.
Et sinon du bonheur dont mon âme est comblée,
Bonheur qui dort au fond de cette âme isolée,
Mystérieux,paisible et frais comme l'étang
Qui pâlissait au fond de la pâle vallée.


この冬空、とても優しく、とても悲しく、とても眠たげな
太陽が白いもやの中をさまよう空は
同じように優しく、そしてとても深い気持ちにさせた
ぼくたちの物悲しくも幸せな気持ちと
木陰でくちづけを交わしたあの午後のような

枯れた枝たちは風が吹こうと揺れもせず
黒い枝たちにはいくらかの色あせた木の葉
ああ!きみの口とぼくの口がどんなに与え合ったか
ひときわ優しく この押し黙った大きな森の中で
この一年の死を迎えての憂鬱さの中で

あらゆるものの死、ぼくのとても愛しているきみ以外のすべての
そしてぼくの心を満たしているこの幸せ以外の
この孤独な胸の底で眠っている幸せ
神秘的で、平和で、清楚な まるで池のような幸せ
この蒼白い谷底で色あせている池のような


冬の寂しげな情景を見事に描写しています。ただ悲しいのではなく、ほんのりとしたはかない幸福感をこれほどまでに表現できるとは! 淡々とした歌とちょっぴりおどけたピアノ。最後の余韻の残し方などなるほどドビュッシーです。なかなか取り上げられない初期の作品ですが、彼の傑作のひとつに挙げても言い過ぎではないでしょう。冬の恋の歌というのもけっこう珍しいようにも思いますし。

( 2007.11.17 藤井宏行 )


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