D'une prison Op.83 Deux mélodies |
牢獄にて 2つのメロディ |
Le ciel est, par-dessus le toit, Si bleu, si calme! Un arbre, par-dessus le toit, Berce sa palme. La cloche, dans le ciel qu'on voit, Doucement tinte. Un oiseau sur l'arbre qu'on voit Chante sa plainte. Mon Dieu, mon Dieu! la vie est la, Simple et tranquille. Cette paisible rumeur-la Vient de la ville. Qu'as-tu fait, o toi que voila Pleurant sans cesse, Dis, qu'as-tu fait, toi que voila, De ta jeunesse? |
空は、屋根のはるか向こうで とても青く、とても静か。 一本の木が、屋根のはるか向こうで その葉を揺らす あの鐘は、目に映える空の中 やさしく響き、 小鳥は目に映る梢で 嘆きの歌を歌う。 ぼくの神様、ぼくの神様!ぼくの人生はあそこに 静かで平穏な人生があるのです。 あの平和なざわめきは 町の中から聞こえてくるのです。 何をしてきたのだ。お前はここで 終わりなき涙にくれて さあ言え、何をしてきたのだ、お前はここで お前の青春に |
ヴェルレーヌがランボーを傷つけて牢屋に入れられた時に書いたこの有名な詩にはたいへん多くの人が曲をつけているようです。その中でもこのフォーレのものが一番よく演奏されるでしょうか。祈りにも似た静謐さのなかでこのやるせなさが静かな叫びとなります。アーンの付けた歌をご紹介したときに訳したものをだいぶ改訂して、原詩との対応をより取れるようにしました。神様への呼びかけの部分は敬語でやわらかく、そしてその後の自問自答の部分はぶっきらぼうな言葉にすることで、より詩人の心の動きが見えてくるような気がしました。
( 2007.11.09 藤井宏行 )