L'hiver a cessé Op.61 La bonne chanson |
冬は終わった 優しい歌 |
L'hiver a cessé : la lumière est tiède Et danse,du sol au firmament clair. Il faut que le coeur le plus triste cède A l'immense joie éparse dans l'air. J'ai depuis un an le printemps dans l'âme Et le vert retour du doux floréal, Ainsi qu'une flamme entoure une flamme, Met de l'idéal sur mon idéal. Le ciel bleu prolonge,exhausse et couronne L'immuable azur où rit mon amour La saison est belle et ma part est bonne Et tous mes espoirs ont enfin leur tour. Que vienne l'été ! que viennent encore L'automne et l'hiver ! Et chaque saison Me sera charmante,ô Toi que décore Cette fantaisie et cette raison ! |
冬は終わった 光は暖かく そして踊っている:地上から澄んだ空まで どんなに深い悲しみの心でも打ち勝てはしない 大空に広がる この限りない喜びには 一年前から ぼくの魂の中には春がいる そして緑が戻ってきた この優しいフロレアルの季節に まるで炎が炎を包むかのように ぼくの理想の上に理想を重ねてゆく 青空は引き伸ばし 高め そして冠で飾る 不動の天空を そこではぼくの愛が笑っている 季節は美しく ぼくの手にしたものは素晴らしい ぼくの希望はとうとうかなえられたのだ 夏よ来い! そしてまた来るがいい 秋でも冬でも! どの季節も ぼくには魅力的だ、おお 着飾ったお前よ この幻想と そしてこの理性とで! |
ピアノに最初に現れるパッセージは春を告げるファンファーレでしょうか。初めはぽつりぽつりと、そして輝かしくテンポを増して響き渡ります。
フロレアル(花月)というのはフランス革命の際にキリスト教色の強い従来の暦を廃止し、12ヶ月それぞれに別の名前をつけたのですが、その8番目で4/20頃から始まる1ヶ月をこう呼んでいました(1番目の月を共和制宣言のあった9/22から始めているために4月ではなくて8月になっています)1793年からわずか10数年しか実際には用いられなかったようですが、その文学的な月の名から、こんな風に時折文学作品の中に顔を出します。ここでは文字通り冬が終わった直後の、ちょうど復活祭の頃のシーズンの詩ということになりますね。
ひとしきり歓喜を歌ったあとで、ちょうど最後の「ぼくには魅力的だ」の部分では第2曲の流れるような旋律が、そして「おお」のところで一息ついて、最後は第1曲目、最初に登場した聖女のテーマで静かに締めくくられます。
( 2007.11.09 藤井宏行 )