Bredon Hill BREDON HILL AND OTHER SONGS |
ブリードンの丘 ブリードンの丘とその他の歌曲 |
In summertime on Bredon The bells they sound so clear; Round both the shires they ring them In steeples far and near, A happy noise to hear. Here of a Sunday morning My love and I would lie, And see the coloured counties, And hear the larks so high About us in the sky. The bells would ring to call her In valleys miles away; “Come all to church,good people; Good people come and pray.” But here my love would stay. And I would turn and answer Among the springing thyme, “Oh,peal upon our wedding, And we will hear the chime, And come to church in time.” But when the snows at Christmas On Bredon top were strown, My love rose up so early And stole out unbeknown And went to church alone. They tolled the one bell only, Groom there was none to see, The mourners followed after, And so to church went she, And would not wait for me. The bells they sound on Bredon, And still the steeples hum, “Come all to church,good people.” O noisy bells,be dumb; I hear you,I will come. |
夏の頃、ブリードンでは 鐘がくっきりと鳴り響く 川の両岸をめぐりながら鳴り渡る 遠くの、そして近くの尖塔から 幸せな音を聞かせてくれる ここで日曜の朝には 恋人とぼくは寝そべっていたものだった 彩り豊かな景色を眺め ヒバリたちが空高く ぼくたちの周りで歌うのを聴きながら 鐘は彼女を呼んで鳴っていた 何マイルも離れた谷間から 「教会へおいで、善良な人々よ 善良な人々よ、来て祈るのです」 だがここに、ぼくの恋人はじっとしていた だからぼくは振り向き答えた 芽吹いたジャコウソウの間から 「おい、ぼくらの結婚式に鳴ってくれよ チャイムの響きを聞いたら 間に合うように教会に行くよ」 だが、クリスマスの雪が ブリードンの丘の頂に積もる頃 恋人はとても早くに身を起こし 誰にも気付かれることなく抜け出して たった一人で教会へ行ってしまった 鐘はたった一度だけ鳴った そこには花婿の姿は見えず 会葬者だけが付き従った 彼女はそんな風に教会へ行った ぼくを待ってはくれなかった 鐘はブリードンに鳴り響く 尖塔は今も歌っている 「教会へおいで、善良な人々よ」 おいうるさい鐘よ、静かにしろ 聴こえているよ、もうすぐ行くよ |
鳴り響く鐘の音がピアノで模されて、とても印象的な歌曲「ブリードンの丘」
丘の上に鐘の鳴り響く中での前半の恋人と一緒の楽しくも懐かしい夏の情景が、冬の訪れとともに暗転します。その暗転にも鐘の音が重要な位置を占め、そしてまた廻ってきた夏のブリードンで鐘を聞きながら幸せだった去年の夏のことをたった一人で思い出している。一編のドラマが実に見事な詩です。内容のくどくどした解説はこの詩には必要ないですね。ハウスマンの詩集「シュロップシャーの若者」の21番目の詩で、詩集の中でも良く知られたものです。この詩集の他の詩同様これにも多くのイギリスの作曲家たちが曲を付けていますが、やはり私には第一次大戦で若くして戦死したバターワースのものが一番印象に残っています。彼のハウスマンの詩に付けた歌曲の中で、歌曲集「シュロップシャーの若者」の6曲に含まれなかったものを「ブリードンの鐘とその他の歌曲」としてまとめているのですが、その中のメインディッシュとして取り上げられています。
( 2007.10.21 藤井宏行 )