La Belle au Bois dormant L 74 |
眠りの森の美女 L74 |
Des trous à son pourpoint vermeil, Un chevalier va par la brune, Les cheveux tout pleins de soleil, Sous un casque couleur de lune. Dormez toujours,dormez au bois, L'anneau,la Belle,à votre doigt. Dans la poussière des batailles, Il a tué loyal et droit, En frappant d'estoc et de taille, Ainsi que frapperait un roi. Dormez au bois,où la verveine, Fleurit avec la marjolaine. Et par les monts et par la plaine, Monté sur son grand destrier, Il court,il court à perdre haleine, Et tout droit sur ses étriers. Dormez la Belle au Bois,rêvez Q'un prince vous épouserez. Dans la forêt des lilas blancs, Sous l'éperon d'or qui l'excite, Son destrier perle de sang Les lilas blancs,et va plus vite. Dormez au bois,dormez,la Belle Sous vos courtines de dentelle. Mais il a pris l'anneau vermeil, Le chevalier qui par la brune, A des cheveux pleins de soleil, Sous un casque couleur de lune. Ne dormez plus,La Belle au Bois, L'anneau n'est plus à votre doigt. |
真っ赤な上着にいくつも穴を開けて ひとりの騎士が朝焼けの中を行く 髪に太陽の光を目一杯浴びて 兜の下には月の色 眠れ 永遠に、眠れ 森に 指輪を、美女よ 指にはめて 戦場の砂塵の中で 騎士は忠義と正義のため人を倒してきた 剣で突き 切り裂いて まるで一人の王が闘っているかのように 眠れ森で バーベインが 花咲いている マージョラムと共に そして山を越え 野を越えて 大きな駿馬にまたがって 騎士は走る 走る 息を切らして 馬の上にすっくと背を伸ばして 眠れ 森の美女よ 夢見よ 王子様が結婚してくれることを 白いリラの花咲く森の中を 金の拍車で駿馬を煽れば 馬は血の汗を流しながら 白いリラを蹴散らし、更に速く進んでいく 眠れ 森に 眠れ 美女よ お前のレースのカーテンの陰で しかし騎士は真紅の指輪を抜き取ってしまった 夕暮れの中を行く騎士は 髪に太陽の光を目一杯浴びて 兜の下には月の色 もう眠るな 森の美女よ 指輪はもうないのだ お前の指には |
いかにもドビュッシーが好きそうなテーマです。まだ歌曲としても比較的初期の作品ですが耽美的な音楽もこの詩の情景によくマッチしていてけっこう印象的。ただあまり取り上げられることは多くないでしょうか。美しい曲ですし良く知られている内容のドラマでもありますし、けっこうやればウケそうな曲なのに実に惜しいことです。CD録音では中ではやはりこれもヴェロニク・ジャンスが取り上げているのが興味深いところです。彼女のフランス歌曲集の録音、フォーレでもあまり歌われない「シルヴィ」を入れたり、ドビュッシーではこの曲を入れたりと有名曲ばかりに偏らない選曲が素晴らしく、しかも非常に聴き応えがあります。
詩人のイスパについては詳細はよく分からなかったのですが、劇作家として活躍された人のようです。エリック・サティが彼の詩でいくつもお洒落なシャンソンを書いていることが特筆されるでしょうか。
バーベインというのは日本ではバーベナ、あるいはクマツヅラと呼ばれる草の花です。またマージョラムというのは眠気をもたらすといわれる甘い芳香のハーブなのだそうです。
( 2007.10.13 藤井宏行 )