春まだ浅く 映画「情熱の詩人啄木−ふるさと篇」 |
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春まだ淺く月若き 生命(いのち)の森の夜の香に あくがれ出でて我が魂(たま)の 夢むともなく夢むれば...... 「自主」の劍(つるぎ)を右手(めて)に持ち 左手(ゆんで)に翳(かざ)す「愛」の旗 「自由」の駒に跨がりて 進む理想の路すがら 今宵生命の森の蔭 水のほとりに宿かりぬ そびゆる山は英傑の 跡を弔ふ墓標(はかじるし) 音なき河は千載に 香る名をこそ流すらむ 此處は何處と我問へば 汝(な)が故郷と月答ふ 勇める駒の嘶(いなな)くと 思へば夢はふと覺めぬ 白羽の甲(かぶと)銀の楯 皆消えはてぬ、さはあれど ここに消えざる身ぞ一人 理想の路に佇みぬ 雪をいただく岩手山 名さへ優しき姫神の 山の間を流れゆく 千古の水の北上に 心を洗ひ...... |
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石川啄木を取り上げた映画を撮影するにあたり、啄木自身の書いた短編小説「雲は天才である」の中で書かれているとある学校の校歌をそのまま歌詞とし、古賀政男がメロディをつけました。上に取り上げましたのは啄木のオリジナルですが、1節と5節は詞が書かれていませんので映画では助監督の安達伸男が補作したのだそうです。こちらは著作権が分かりませんでしたので取り上げませんでしたが、ネットを探していただければすぐ見つかります。
( 2021.04.25 藤井宏行 )