Och finns det en tanke Op.86-4 6 Laulut |
そしてひとつの考えがある 6つの歌 |
Och finns det en tanke,som dröjer hos mig när äntligt min timme är slagen, så skulle den bygga min sista stig av toner,som bure ett eko i sig från skogen och sommardagen. På tonernas brygga jag dröjande gick i sällsamma drömmar dit över, av sommar och solsken och böljor jag fick en sista,förstående avskedsblick, en sådan,som bäst jag behöver. |
そしてひとつの考えがある、私のもとに留まり 私に最後の時がくれば 最後の道を切り開いてくれるのだ こだまが響き合うような音によって その音は森と夏の日からやってくる 音の橋の上を私はおずおずと行く 不思議な夢の中を向こう側へと 夏と日の光と波から私は得た 最後の、理解に満ちた別れの眼差しを それこそが、私が最も必要とするものだ |
シベリウス後期の歌曲集(といっても1916年の作曲だそうですのでまだ50代はじめ、彼はこれより更に40年を生きます)作品86より、死期を悟ったかのような達観した歌曲を取り上げてみます。
詩人はOp.17などでも良く取り上げていたフィンランドのスウェーデン語詩人タバストシェルナ。大変に意味を取りにくい難解な詩ですので解釈を間違っている可能性がありますが、この詩を読んでみてのイメージは死に臨んで走馬灯のように駆け巡る幸せだった頃の情景。その暖かい音と光景に見送られて死出の旅へと出発する、といったものです。ピアノの伴奏はひたすらひそやかに、この過ぎ去った幸福を慈しむかのような歌に寄り添います。インパクトのある曲ではないですけれどもいかにもシベリウスらしい佳曲だと思います。
( 2007.09.20 藤井宏行 )