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Fear no more the heat o' the sun   Op.18-3  
  Let us garlands bring
もはや灼熱の太陽も怖れるな  
     花輪を捧げよう

詩: シェイクスピア (William Shakespeare,1564-1616) イングランド
    Cymbeline (シンベリン) Act.4 Scene.2 Fear no more the heat o' the sun

曲: フィンジ (Gerald Finzi,1901-1956) イギリス   歌詞言語: 英語


Fear no more the heat o' the sun,
Nor the furious winter's rages;
Thou thy worldly task hast done,
Home art gone,and ta'en thy wages;
Golden lads and girls all must,
As chimney-sweepers,come to dust.

Fear no more the frown o' the great;
Thou art past the tyrant's stroke:
Care no more to clothe and eat;
To thee the reed is as the oak:
The sceptre,learning,physic,must
All follow this,and come to dust.

Fear no more the lightning-flash,
Nor the all-dreaded thunder-stone;
Fear not slander,censure rash;
Thou hast finished joy and moan;
All lovers young,all lovers must
Consign to thee,and come to dust.

No exorciser harm thee!
Nor no witchcraft charm thee!
Ghost unlaid forbear thee!
Nothing ill come near thee!
Quiet consummation have;
And renownéd be thy grave!


もはや灼熱の太陽も怖れるな
怖れるな 激しい冬の嵐も
この世の務めを成し終えた汝は
故郷へと戻り 報酬を受け取るのだ
輝ける若者も乙女たちもみな
煙突掃除夫のように 塵にかえる

もはや権力者のしかめ面も怖れるな
汝は暴君の攻撃をもはや受けぬ
着るものも食べ物も心配するな
汝にとっては葦も樫の木のようだ
王権も学問も医術も
世の理に従う そして塵にかえる

もはや稲妻の光も怖れるな
怖れるな 皆が怖がる雷鳴も
陰口も恐れるな、非難の応酬も
汝は喜びも悲しみも終えたのだ
若き恋人たちすべて すべて恋人たちは
汝に倣う そして塵にかえる

いかなる悪魔祓いも汝に害をなさぬよう!
いかなる魔術も汝にかけられたりせぬよう
解き放たれた亡霊も控え居れ!
いかなる禍々しきものも汝に近付かぬよう
静かな終焉のときを享受し
名を上げよ 汝の墓で!



ブリテン島のいにしえの王様、シンベリンのまわりで起こる事件を題材としたシェイクスピアの作品より。第3幕でシンベリンの娘イモージェンが陰謀で追放された夫の元へと男装して急ぐ途中、継母の策略によって調合された毒薬を飲んで仮死状態になってしまい、死んでしまったと思い込んだグィディーリアスら(追放されて洞窟に住んでいますが後に誘拐された王子たちであったことが判明します)によって歌われる葬送の歌です。戯曲では2人の男の掛け合いで歌われるようですが、フィンジのはソロの歌曲となっています。素晴らしく印象的な歌詞だと私には思えますが、残念ながらあまり多くの歌曲にはなっていないようです。もっともフィンジの作品がとても素晴らしいですので良いのですが...
挽歌ですから非常に荘重に、重々しく歌われます。とはいえ冒頭部のピアノ伴奏など叙情的な美しい響きも聴かれ、実に美しい音楽でもあります。

( 2007.09.07 藤井宏行 )


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