僧院と尼僧 |
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尼僧は静かに歩み行き 水無月青葉の下蔭は いと憂鬱の白き蛾が 飛んで寂しく夕来ぬ 尼僧の歩み いと遅く 夕鐘そぞろに鳴りまさり 静けさまさる僧院の 此の日も讃歌に終るなり 賎の乙女が花籠を 負うて来る日暮れて 僧院の外 いや寂しく なりまさるなり今日の日も 鐘は やみ 夜のとばりはくだり 僧院の燈火幽かなり いざ いねむ 草木も守る けふの夜よ |
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( 2021.02.17 藤井宏行 )