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Jeg elsker Dig   Op.5-3  
  Hjertets Melodier
君を愛す  
     心のメロディ

詩: アンデルセン (Hans Christian Andersen,1805-1875) デンマーク
      Min Tankes Tanke (1833)

曲: グリーグ (Edvard Grieg,1843-1907) ノルウェー   歌詞言語: デンマーク語


Min Tankes Tanke ene du er vorden,
Du er mit Hjertes første Kærlighed.
Jeg elsker Dig,som Ingen her på Jorden,
Jeg elsker Dig i Tid og Evighed!

ボクの頭の中はキミのことで一杯だ
キミはボクの心の初めての恋人なんだから
愛してる、この世界の誰よりも
愛してる 今この時も そして永遠に!

訳していて赤面してしまうような臆面もない歌ですが、この北欧の情熱、なかなか私は好きです。”I love you”を連呼しながら段々盛り上がっていくのがこの歌のポイントで、私はこの箇所をアメリンクやロス・アンヘレスの歌うドイツ語版(Ich liebe dich) で聴き慣れていたので、原語のデンマーク語(Jeg elsker Dig) で聴くととても新鮮でした。
詩も少しホルスタイン訳のドイツ語版は違っているようで、原詩では上の一節だけですが、ドイツ語版では次のような第2節が付け加わってこんな感じになっています。

 君は僕の心、君は僕のすべて!
 君こそが僕のはじめての喜び!
 愛してる。この地上のだれよりも。
 愛してる。時の続く限り永遠に!

 君のことだけを考え続け
 君の幸せに、この心を捧げる
 もし神様が人生にどんな試練を下されようと
 愛してる。時の続く限り永遠に!


 Du mein Gedanke,du mein Sein und Werden!
 Du meines Herzens erste Seligkeit!
 Ich liebe dich wie nichts auf dieser Erden,
 Ich liebe dich in Zeit und Ewigkeit!

 Ich denke dein,kann stets nur deiner denken,
 nur deinem Glueck ist dieses Herz geweiht,
 Wie Gott auch mag des Lebens Shicksal lenken,
 Ich liebe dich in Zeit und Ewigkeit!


確かに1節だけだととても短いので、もう一回繰り返して歌われることも多く第2節を作りたくなった気持ちも分からないではないですが、全体にちょっと大袈裟になり過ぎのような...
ここはやはり原語で、世評の高いフォン・オッター盤(DG)が絶品と思いますが、NAXOS 盤のソプラノ、アルネセンも素朴な味でなかなかよかったです。
男声では強烈なパッションが印象的なニコライ・ゲッダの1971ロンドンライブ(Arkadia)、あるいは全く逆の解釈で優しくささやくように歌うフレデリクソンのバリトン(Vanguard)が素敵でした。
往年の録音の中には英語版で、まさに”I love you(thee)”を連呼しながら段々盛り上がっていくものもありなかなか面白いです(マリオ・ランツァなど)。
そういえばグリーグの曲を散りばめたブロードウエイ・ミュージカル「ソング・オブ・ノルウエー」という作品もあり、その中でも取り上げられていました。

1998.6.20(2004.05.16改訂)

原詩を追記するにあたり、原詩をもう一度読み込んで訳を改訂しました。あんまり仰々しくするとこの詩の味わいが死んでしまいそうなのでちょっとくだけた感じにしてみましたがちょっとやりすぎたかも知れません。グリーグの作品としては最初期のもので、彼の生涯の伴侶としてたくさんの歌曲を書くきっかけとなったニーナとの婚約が決まった年に書かれた「心のメロディ Hjertets Melodier」の第3曲。個人的な喜びも色濃く反映されているプライヴェートなところもあるのでしょうからまあお許しください。


( 2007.01.27 藤井宏行 )


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