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Beau Soir   L 6  
 
美しい夕暮れ  
    

詩: ブールジェ (Paul Bourget,1852-1935) フランス
    Les aveux - Dilettantisme - Souvenirs du Nord  Beau Soir

曲: ドビュッシー (Claude Achille Debussy,1862-1918) フランス   歌詞言語: フランス語


Lorsque au soleil couchant les rivières sont roses,
Et qu'un tiède frisson court sur les champs de blé,
Un conseil d'être heureux semble sortir des choses
Et monter vers le coeur troublé.

Un conseil de goûter le charme d'être au monde,
Cependant qu'on est jeune et que le soir est beau,
Car nous nous en allons comme s'en va cette onde,
Elle à la mer,nous au tombeau.

沈む夕日の中、川が真っ赤に染まり
暖かくさざめく波が小麦畑の上を渡るとき
あらゆるものが「幸せになれよ」と言っているようだ
揺れ動く心にはそう聴こえてくる

この地上に生きる喜びを味わいつくせということなのだろう
まだ若いうちに、そして夕暮れがこんなに美しいうちに
私たちもこのさざめく波と同じようにやがて去っていくのだから
さざめく波は海へと、そして私たちは墓場へと


ドビュッシー最初期の作品の中では最もよく取り上げられる作品でしょうか。若いときのつかの間の幸せを実に美しく描写しています。しかしその美しい情景に浸っている2人の心には恐ろしい虚無感が。音楽はとてもきれいなのですけれども詩を読むとなんだかやるせないです。でも命に終わりがあるからこそ今が輝くということもあるのでしょうね。

EMIの歌曲全集ではスゼーの歌ですが、アメリンクもPhilipsにあるフランス歌曲集で歌っています。どちらも素晴らしいですが私はこの歌、男声で聴く方が好きです。しかもどっちかというと年配の歌手が若き日をしみじみと振り返るような感じで歌われたものが。
スゼーの歌はその意味で彼もかなり歳を取ってからの録音なので実にいいですね。まだ若き日を振り返られるほど私も人生を重ねてきたわけではないので、もっと歳を取るまでこの歌を味わい尽くす楽しみは取っておきたいと思います。

( 2007.06.15 藤井宏行 )


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