日本海軍 新撰国民唱歌 第5集 |
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扶桑の空に聳え立つ 富士の高嶺の朝日かげ かゞやく吉野の櫻花 かをる譽の高雄山 榮ゆる影も常盤なる 松の操の松島と 世界にひゞく我國の 武威高砂の浦の波 寄せなば寄せよ鐵石の 砦はかたき天城山 楯を枕に敷島の 大和心の明石がた 須磨厳島あとに見て 國に命を筑紫路や 雲に秀づる高千穂の 嶺より高き大君の 御稜威溢るゝ秋津島 引きはかへらぬ武士の 心の弓の八島がた 八雲八重山千代かけて まもる千代田の宮柱 立つし功は千早ぶる 神のめぐみの筑波山 動かぬ御代世を世に示す 金剛磐城摩耶愛宕 赤城葛城鳥海山 浪速あれども信濃なる 浅間の嶽に立つけぶり 日向をいてし御軍の 向ふに服せぬ仇もなく みやこ定めて橿原に 立てし千歳の石(いしずゑ)は 萬国無比の國の徳 三笠の山にさし登る 月こそ照らせ武蔵野の 吾妻の奥の果までも その大島の海までも 變らぬ御代の御光りを 初瀬龍田の紅葉ばに 見せて染めなす秋の色 笠置の麓行く川の 泉と共にいさぎよき 日本男児の赤心(まごころ)は 磐手の躑躅(つゝじ)橋立の 松かあらぬか古への 王城鎮護の比叡山 山風荒く吹き捲きて 荒れ立つ雲の出雲艦 我帝國の海門に ひそめる數萬の天竜の み空に翔らん雄々しさよ 千里に翔らんをゝしさよ 守れや鎮遠済遠艦 萬國唯一の帝國を まもれや平遠操江艦 皇統無窮の神國を |
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Wikiでは明治37年の発表とありましたが、国会図書館のディジタルライブラリーにある資料では明治34年の「新撰国民唱歌. 第5集」に掲載されていましたのでこれ以前の作品ということになります。当時の日本海軍の艦船の名を歌詞に織り込んだ少々長大な歌です。
( 2021.01.24 藤井宏行 )