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Au cimetière   Op.51-2  
  Quatre mélodies
墓地にて  
     4つのメロディ

詩: リシュパン (Jean Richepin,1849-1926) フランス
    La Mer - 5. Les gas  Au cimetière

曲: フォーレ (Gabriel Fauré,1845-1924) フランス   歌詞言語: フランス語


Heureux qui meurt ici,
Ainsi que les oiseaux des champs!
Son corps,près des amis,
Est mis dans l'herbe et dans les chants.
Il dort d'un bon sommeil vermeil,
Sous le ciel radieux.
Tous ceux qu'il a connus,venus,
Lui font de longs adieux.

À sa croix les parents pleurants,
Restent a genouillés,
Et ses os,sous les fleurs,de pleurs
Sont doucement mouillés
Chacun sur le bois noir,
Peut voir s'il était jeune ou non,
Et peut,avec de vrais regrets.
L'appeler par son nom,

Combien plus malchanceux
Sont ceux qui meurent à la mé,
Et sous le flot profond
S'en vont loin du pays aimé!
Ah! pauvres! qui pour seul linceuls
Ont les goëmons verts,
Où l'on roule inconnu,tout nu,
Et les yeux grands ouverts!

ここに死せる者は幸せだ
ちょうど野の小鳥のように!
その亡骸は、友のそばで
草と歌声に包まれる
その眠りは深い紅色の眠り
茜さす空のもとで
彼を知るすべての人々は集い
永遠の別れを告げる

十字架に向かって彼の両親は涙し
その前に跪く
そして彼の遺骨は、花の下で、涙に
穏やかに濡らされる
この黒い森に立つ人はだれでも
ここに眠る人が若い人か否かを知る
そして深い哀悼とともに
彼の名を呼ぶのだ

なんと不幸な人だろうか
海で亡くなった人は
深い水底で眠っている
愛する故郷から遠く離れて!
ああ!気の毒な!その経帷子には
緑の水草が生えているだけ
誰にも知られず 揺らされている
目を大きく見開いて!


ここで歌われているのは穏やかな眼差し。不幸にして若くして死んでしまった人の葬送のシーンを描いているのでしょうか。非常に悲しい情景でありながら音楽はやさしく、暖かく包み込むような調べです。
たとえ死しても、彼をしのんでくれる人が集まってくれる限りは決して「無縁」ではない、ということでしょう。
それに対比するかのように突然、海で遭難し故郷に戻ることが叶わなかった人の姿が描写されます。こちらはとても鮮烈に。激しいやるせなさと悲しみをぶつけながらひとしきり歌ったあとで、再び冒頭の穏やかな墓地の情景が戻ってきます。

死して別れることはやはりつらく悲しいことではあるのですが、その感情を鎮めて死者を穏やかに送ろうということなのでしょうね。ジャン・リシュパンの優しい眼差しに満ちた詩がひときわ心に染みてきます。

( 2007.06.09 藤井宏行 )


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