Larmes Op.51-1 Quatre mélodies |
涙 4つのメロディ |
Pleurons nos chagrins,chacun le nôtre, Une larme tombe,puis une autre, Toi,qui pleures-tu? ton doux pays, Tes parents lointains,ta fiancée. Moi,mon existence dépensée En voeux trahis! Pleurons nos chagrins,chacun le nôtre, Une larme tombe,puis une autre, Semons dans le mer ces pâles fleurs A notre sanglot qui se lamente Elle répondra par la tourmente Des flots hurleurs. Pleurons nos chagrins,chacun le nôtre, Une larme tombe,puis une autre, Peut-être toi-même,ô triste mer, Mer au goût de larme âcre et salée, Es-tu de la terre inconsolée Le pleur amer! |
ぼくらの苦しみに涙しよう、ぼくらはお互いに 涙を一粒流す、そしてもう一粒、 君よ、何に涙しているのかい?君の愛するふるさと 遠く離れた父母、君のフィアンセのことか ぼくは、このみじめな境遇に 希望に裏切られたことに ぼくらの苦しみに涙しよう、ぼくらはお互いに 涙を一粒流す、そしてもう一粒、 この蒼ざめた花を海の中に振り撒こう そこに自分自身を嘆くすすり泣きを 嘆きには嵐が答えるだろう そして渦巻く波が蒼ざめた花びらのように ぼくらの苦しみに涙しよう、ぼくらはお互いに 涙を一粒流す、そしてもう一粒、 おそらくきみも、きみ自身も、おお悲しき海よ ほろ苦く 塩辛い涙の味のする海よ お前も慰めのない大地の 苦い涙なのだ |
ジャン・リシュパンの詩にもフォーレは2つだけ曲を付けています。これらもまた詩の持ち味に(とはいっても私はリシュパンの詩はこのフォーレが歌曲にしているものの他には知りませんが)よく合った印象的な曲たちです。リシュパン(1849-1926)はアルジェリア生まれ。軍隊を経験したのちは職業を転々とし、社会の下層階級の人たちに共感した詩や小説をたくさん書いていたのだそうです。
この曲もフォーレには珍しい激しい感情をむき出しにした作品。各節の冒頭で繰り返されるchagrins(苦しみ)やchacun(互いに)というフランス語の響きがとても印象的です。
もともとの原詩は4連からなっていたようですが、フォーレがよくやるようにこの曲でも第3連は省略されています。Emily Ezustのページでこの省略された第3連もみることができますが、検索しても他でヒットしませんので掲載は控えます。ちょっと言葉の使い方で分からないところがありますものですから。ちなみに省略された部分の意味は「海は涙で大きくなり、どんどん塩辛くなっていくのだ」といった感じです。
( 2007.06.02 藤井宏行 )