風のうたった歌 その二 風のうたつた歌 |
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森は不意にかげりだす それは知らない夢のやうに 水や梢はかげりだす 私がひとり笑はうとする くらく遠くの叢(くさむら)に―― そのあとちひさな光が溢れ 葉は一面に顫(ふる)へだす 森は風を待つてゐる 私は黙つて目をとぢる 私は逃げる うすい綿雲を見ないため 空に大きな光が溢れ 私はだんだん笑ひだす |
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( 2020.12.29 藤井宏行 )